創るためのAI 機械と創造性のはてしない物語

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創るためのAI 機械と創造性のはてしない物語

  • 著者名:徳井直生
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • ビー・エヌ・エヌ(2021/02発売)
  • ポイント 26pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784802512008

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内容説明

Artificial Intelligence(AI)=人工知能を用いたアートや音楽など創作に関する取り組みを題材に、人間の創造性とAIの関係、その未来像について考察した一冊。

社会における注目度が急速に増し、日常の何気ない会話の中にも登場するほど、私たちの生活に浸透しつつあるAI。一方で、AIの実像について理解できている人はそう多くありません。「近いうちにAIが人間の能力を凌駕する」、「AIが仕事を奪う」といった話がマスメディアでまことしやかに囁かれ、「AI時代」を生き抜くために必要な能力を議論する書籍をよく目にするようになりました。機械的な計算を超人的なスピードと正確性でこなすAIに対して、「人間のアドバンテージは機械にはない創造性にある」、「AI時代を生き抜くためには創造性を養う必要がある」、そんな議論もよく耳にします。

本書はこうした話とは、趣旨が大きく異なります。創造性を持つ人間と、持たないAIという二項対立で捉えるのではなく、まずは「機械は創造性を持ち得ない」という先入観を疑ってみることとします。その上で、「AIも人とは違う創造性を持ち得るのではないか」という仮説に基づいて議論を進めます。

AIとは何か。ただの道具か。AIによって人の能力、特に創造性をどのように拡張できるのか。そもそも、創造性とは何か──。機械による模倣が人の創造性を拡張してきた歴史を紐解きながら、世界中で行われている現在進行形の取り組みに注目し、より豊かなAIと創造性の未来を照らし出します。

創造性という極めて人間的な心の働きを、新しい人工物の上で模倣することで、私たち人間の創造性について、新しい視座を得ようとする試みともいえます。AIというレンズを通すことで、創造するという行為が全く新しい姿を見せてくれることに驚くはずです。

目次

はじめに

第1章|AIはアーティストになれるか
1.1|AIとは何か?──つくることは理解すること
1.2|AI「が」描く絵
1.3|AIはアーティストになれない
1.4|AIは単なる道具ではない

第2章|バベルの図書館──AIを通して考える創造性の本質
2.1|創作とバベルの図書館
2.2|コンピュータから見た創造性の定義
2.3|AIによるテキスト生成──バロウズ、ボウイとGPT-3
2.4|AIと音楽──楽譜、演奏、サウンドの生成
2.5|「機械は何も生み出さない」は本当か? ──19世紀のAI
2.6|進化と創造性──遺伝子のバベルの図書館
2.7|AI自体が創造性を手にするために

第3章|AIとモノマネ芸人──模倣する機械の歴史
3.1|AI美空ひばりとモノマネ芸人
3.2|エジソンのチューリング・テスト189
3.3|写真と印象派─ 模倣から生まれる新しい表現
3.4|模倣の失敗が世界の音楽を変えた
3.5|最初期のAIアート──自らを模倣する機械をつくった画家

第4章|AI美学──AIが表現に与える影響
4.1|クジャクの尾──AIによる最適化の落とし穴
4.2|シナトラが歌うJ-POP──オーサーシップの消滅
4.3|制作と消費のあいだで──「作品」が消える世界

第5章|AIと創造的に付き合うためのヒント
5.1|一見関係ないものをつなぐ
5.2|違和感を演出する
5.3|異質さを抱きしめる
5.4|誤用によって価値を転換する
5.5|AIと創造的に付き合うためのヒント

終章|AIと創造性の未来
AIとのサーフィン

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スプリント

7
業務処理をこなす。から新たな価値を創造する。 AIがゼロから生み出すことができるのか。とても興味深いテーマです。2022/06/12

ニッポニテス的遍歴

3
☆=5/5 今後「人工知能の創造性」を論ずる際には出発点となるであろう本。 AIと芸術を巡る倫理・自発性・新奇性等にまつわる課題と論点を的確に要約した内容となっている。2020年の現状における最先端の試みから、過去の技術史を巡る考察まで広範なトピックが並ぶ。  過度な主張を抑えた禁欲的な書きぶりが徹底されているが、文章の端々から著者の「AIの持つ潜在性」にかける明るい期待が溢れ出ていて読むのが楽しかった。2021/01/30

プロムナード

2
AIは「鏡」であり、それを通じて「人間の創造」が解体/再解釈される。“探索空間が十分に広いとき探索と創造は区別できない”というキラーフレーズ…!そしてAIを「道具」と捉えれば、それが不完全な模倣者/外部からのエイリアンとなったときにこそ創造性の本質が現れる。まさに。AIはやがて〈個人の「創作者」が唯一無二の「作品」を創る〉という構造すら消滅するのでしょう。2020年刊ですが技術紹介じゃなく本質論なのでまさに今必読の書。「バベルの図書館」のアナロジーやエイダ・ラブレスの逸話もあり、文系的に興奮します。2023/04/02

oDaDa

2
「いいねの数や視聴数で最適化された写真や音楽は、私たちの目や耳には心地よく響くことでしょう。しかし、クジャクが美しい羽根の呪縛から抜け出せなくなったように、最適化が文化の進化の袋小路へとつながる道であることを意識する必要があります。 私たちは一般に生物の進化はより高度な生物に…実際には進化はより高度な生物に一直線につながる最適化のプロセスではありません。進化は多様化のプロセスです。すべての動物がホモ・サピエンスになった世界を想像するまでもなく、多様性を失った生態系は非常に脆いといえるでしょう。」p.2422022/12/22

Go Extreme

2
AIはアーティストになれるか:つくる=理解 AIが描く絵 AI≠アーティスト・単なる道具 バベルの図書館ーAIを通して考える創造性の本質:コンピュータから見た創造性の定義 AIによるテキスト生成 AIと音楽 機械は何も生み出さない? 進化と創造性 AIとモノマネ芸人ー模倣する機械の歴史:AI美空ひばりとモノマネ芸人 エジソンのチューリング・テスト 写真と印象派ー模倣から生まれる表現 AI美学ーAIが表現に与える影響 AIと創造的に付き合うためのヒント:違和感を演出 異質さを抱きしめる 誤用により価値を転換2021/03/01

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