学問の自由が危ない

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学問の自由が危ない

  • ISBN:9784794972507

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内容説明

これはもはや、学問の自由のみならず、民主主義の危機!

菅義偉首相による日本学術会議会員への被推薦者6名の任命拒否は、学問の自由と独立性を侵害する重大な危機につながる行為。日本学術会議はじめさまざまな学協会から強い抗議の意が表明される一方、政権は様々な論点ずらしをもってこの問題を矮小化し、議論は長期化の様相を呈している。この問題の背景に何があるか、学術会議はなぜ必要か、さらに学問の自由とはなにか、それがなぜ重要であるかについて、市民の理解を求め、世論を喚起するべく編まれた緊急出版。佐藤学・上野千鶴子・内田樹の3名が編者となり、多彩な執筆陣が繰り広げる、学問の自由と民主主義をめぐる白熱の論考集。任命拒否を受けた6名のメッセージも収録。

「いったい何が壊されたのか。人々が震撼した危機は何なのか。そして、この事件は何の始まりなのか。本書は、この衝撃的な出来事を多角的に照らし出し、その深層を解明する趣旨で編集された」──佐藤学
「これは日本の民主制を深く傷つけ、国際社会における日本の学術の信頼性と威信を著しく損なう行為です」──内田樹
「菅政権に学者を屈服させることはできない。この戦端を開いたことを、政権は後悔することになるだろう」──上野千鶴子

【目次】
はじめに 佐藤学

1 学術総動員体制への布石 上野千鶴子
2 日本学術会議における「学問の自由」とその危機 佐藤学
3 政府が学問の世界に介入してきた 長谷部恭男+杉田敦
4 任命拒否の違法性・違憲性と日本学術会議の立場 髙山佳奈子
5 学問の自律と憲法 木村草太
6 日本学術会議とジェンダー平等 後藤弘子
7 日本学術会議と軍事研究 池内了
8 酔生夢死の国で 内田樹
9 学術会議だけの問題ではない三つの側面 三島憲一
10 「学問の自由」どころか「学問」そのものの否定だ 永田和宏
11 文化的適応としての科学と日本学術会議 鷲谷いづみ
12 1000を超える学協会の抗議声明から読み取れること 津田大介

■資料編
任命拒否を受けた6人のメッセージ(芦名定道、宇野重規、岡田正則、小澤隆一、加藤陽子、松宮孝明)
公表された声明文から(法政大学総長、日本ペンクラブ、現代歌人協会・日本歌人クラブ、映画人有志)
日本学術会議による「要望書」
日本学術会議法
声明を公表した学協会一覧
日本学術会議問題 日録

あとがき 上野千鶴子・内田樹

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

56
まず、佐藤学さんの「はじめに」で、この事件はクーデタだとあり驚いた。政権を担う人たちが何を企んできたのか、津田大介さんは振り返る。社会へ警鐘を鳴らす役割こそ学術会議の最も大切な役割という永田和宏さん。上野千鶴子、内田樹両氏の「あとがき」にも事の重大性と緊急性が訴えられていた。任命拒否された当事者の方の考えも知ることができて良かった。学術と政治、この関係の根本的なところを、今後私たちは注視していかなければならないと思った。2021/06/23

けんとまん1007

56
帯にあるとおりだと理解している。いわゆる権力側にいる人たちが、ますますせこく小さくなってきているし、狡さだけはある。それに対して、どのように声を上げるのか。この件だけなく、この国の劣化が止まらないことへの危機感。2021/05/24

ルピナスさん

41
私は当初、発足したばかりの菅内閣による日本学術会議会員6名の任命拒否は、自らの判断で行動を起こそうとする菅政権の意気込みの表れかと勘違いしてしまった。読友さんのレビューで問題の本質を知るまでは・・・。この約10年、海外から日本を見て政治を理解しようとする度に、船酔いのような感覚に陥っていた。いつの間にか忖度という言葉がはびこり、真剣な想いがはぐらかされる感覚。今の政治に学問が呑み込まれないで欲しい。本書に出会い、改めて認識した。学問とは、真理と自由を追求し、やがて社会全体の利益に繋がるとても尊いものだ。2021/07/01

katoyann

30
菅義偉元首相による「日本学術会議会員6名の任命拒否」事件の問題性に関する学者たちの論稿集である。任命拒否の理由は不明瞭とされているが、対象者6名は共通して安保法制と共謀罪に反対したという過去があった。つまり、時の政治権力の意向に沿わない見解を示したがために任命を拒否した事件と見られている。端的にこの事件は日本学術会議法違反であり、政治権力が学問に介入したという意味で憲法違反(第23条 学問の自由)である。政治権力が学問に介入する国は、独裁政治体制と相場が決まっている。単なる学者の自治の話ではないのだ。2022/08/05

てん

23
最近とみに世間の温度が下がってしまった日本学術会議の首相による任命拒否問題。購入してしばらく積んでしまっていたが、読み始めたら一気読みだった。なぜ任命拒否が問題(違法)なのか、なぜ任命拒否が学問の自由の侵害と言われるのか、その論理がやっと理解できた。当代の一流の研究者が理路整然と述べている内容に対して、政府は反論できるのだろうか。それにしても法律は、用語一つの意味、用法からして難しい。だが、それにひるむことなく、今のまま話題を低温度化させてはいけないと強く思う。国家の危機。2021/07/04

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