内容説明
現代インド社会の実像を的確にとらえた力作
本書は、経済自由化以降の急激な成長によって誕生した超富裕層の実態に深く切り込み、インドの経済・政治・社会の諸相を、ときに魅力的に、ときに生々しく描き出したノンフィクションである。380億ドルという途方もない個人資産を持つインド最大の富豪ムケーシュ・アンバニをはじめ、ビジネスのさまざまな分野で成功を収めた億万長者が何人も登場するが、単なる「成金列伝」ではない。政官財の癒着、蔓延する縁故主義、地方政界やスポーツ界を蝕む汚職体質など、サクセスストーリーの裏に見え隠れする負の側面から、インド社会に根深く残る腐敗の構造をあぶり出していく。
『フィナンシャル・タイムズ』の記者だった著者は、19世紀後半のアメリカの「金ぴか時代」に現在のインドを重ね合わせたうえで、アメリカではその後、政治の透明性向上や中産階級の拡大といった変化がもたらされたが、インドも近い将来、そうした「革新主義時代」に移行することができるだろうかと問う。
グローバル経済の功罪、新興国の経済発展と政治、貧富の格差といった現代世界が直面するさまざまな問題を考えるうえで示唆に富み、読み応え十分の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TK39
3
インドの現実。賄賂なしでは何も進まない、政治家は強さが必要。モディ首相はヒンディナショナリストであり、学校で習ったガンジー、ネルーの時代とは全く異なる。当たり前だけど。 カネは何にでもついて回る。製造業で成長した東南アジアとは異なり、サービス業が強いインドはどのように成長するのか?日本の友好国(少なくとも、対中国では)であるインドの今を知るには良い本です。 2021/01/16
お抹茶
2
インドの大富豪やモディの暗部を取材する。インドには経済の急成長に対応できる政府機能が整っていなく腐敗していた。縁故主義や汚職が蔓延り,袖の下があることで官僚や政治家が投資を促進した。モディと過激なヒンドゥー教団体との繋がりなど,インドにおいても宗教対立を背景にした経済闘争が見え隠れする。2022/07/16
Stevie G
2
インドのビジネスに関連する人は、この著書を読まないわけにはいかない程、現在のインドを知るためには、素晴らしい内容です。ムンバイに行くたび、ムケシュ・アンバニの家「アンティリア」を、空港からホテルに行く車から眺めて、とてつもない貧富の差を目の当たりにしていました。インドでビジネスを展開するには、この著書に書かれている、インド社会の光と影の中で、判断をしていかないといけないのですが、こちらが一つ発言すれば、1時間くらい切れ目なくインド英語で話し続けてくる相手を、どこまで信用すればよいのか、非常に難しいです。2021/01/31
路人
2
分量も多いですが内容的にも読み応えありました。企業家(成功者と失敗者)、政治家、スポーツ界、キャスター。インドのビリオネア達を描き出します。これもインドの一つの姿、様々な階層・クラスが混じり合う(最近はサラダボウルというらしいがぶつかり合うさまは“るつぼ”が似合う)インド社会の一面なのでしょう。2020/11/20
RYU
0
原題The Billionaire Raj。元Financial Timesのムンバイ支局長著。官財の癒着、縁故主義、金権政治など、インドの富豪を生み出してきた裏側を、各者の証言をもとに、暗に描く。2023/06/27
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