内容説明
読者にも作品を書くことのエロティシズムを共有させる、研ぎぬかれた文学。泉鏡花賞受賞作ーーあなたの名前で発表された小説を書いたのはわたし……との書き出しで届く奇妙な手紙は、小説を発表するたびに必らず送られてきた。小説を書くことによって、初めて彼女との関係が始まるのだ……。書くことに内包されたエロティシズムの悦楽と恐怖とを、読者=作者に鋭く突きつけた、現代文学の成果。泉鏡花賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
32
☆☆☆★ 自分が書いた作品なのに、それを書いたのは私だと言い張る他人がいる。そのような視線を持って書かれた作品が多い。存在の揺らぎと、濃密な文体に幻惑される泉鏡花文学賞受賞作。濃密すぎて続けて読むと食傷気味になる。2022/02/10
まっちゃちゃん
2
元本は1979年発刊、文庫は1982年。第7回泉鏡花文学賞受賞作品。 表題作を含む短編集。彼女の軽やかな筆致から、ついついエッセイと勘違いしそうになる。が、一部、連作もある見事な小説。 この中では「公園の中の水族館」が好き。今は公衆便所になっているが、昔は水族館だった…それは本当なのか。時間、変容、不在…彼女の感性が冴え渡る一冊。2020/05/06
ルミ
1
再読2016/04/26
ひとみ
1
物語を語ろうとする人物とそれを客観的に見つめる人物との対比が面白い短編集。他の本で読んだものもあるが、この本で読んだ方がしっくり入った。物語りを語る・物語りを生きることが小説ではない。うーん、上手く言えない。2012/04/21
丰
1
Y-202002/05/07