内容説明
「雪の形をどうしても確かめたく―」下総古河藩の物書見習・小松尚七は、学問への情熱を買われ御目見以下の身分から藩主の若君の御学問相手となった。尚七を取り立てた重臣・鷹見忠常とともに嬉々として蘭学者たちと交流し、様々な雪の結晶を記録していく尚七。だが、やがて忠常が蘭学を政に利用していることに気付き…。蘭学を通して尚七が見た世界とは―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
61
ご感想に惹かれて雪の晩に再読。下総古河藩の「雪の殿様」土井利位に仕えた辣腕政治家鷹見泉石(忠常)と彼に見出された下級藩士「何故なに尚七」の物語。蘭学受容が加速した江戸後期に「雪の形を確かめたい」と思った男たち。一人は外戚から召喚された藩主としての責を負いながら、一人は藩を支える政治の要となりながら、そして一人はただ純粋に知と理を求めながら、美しく時に冷酷な自然の摂理と向き合っていく。大塩の乱へと収斂していく物語は幕末の歪みを映すが、基礎研究とそれを許す寛容と政治的な予見という異なる視点が溶け合う価値を思う2026/02/11
優希
59
雪の結晶について見た世界は美しいだろうと思いました。蘭学と絡めているのも時代を感じさせますね。美しい物語でした。2022/03/13
ユメ
37
「何故なに尚七」との異名をとる主人公が雪の形を一心に研究するのは、「識りたい」という純粋な探究心からだ。しかし、尚七を取り立てた鷹見忠常は蘭学を政の道具として利用する。忠常の行動は時に非情にも映るが、読んでいるうちに彼は彼の道を誠実に生きているだけなのだということが腑に落ちる。尚七のような人間と忠常のような人間、両者揃ってこそ学問は発展するのだろう。それでも、大塩平八郎の乱を「愚行」と斬り捨てる忠常より、大塩に寄り添おうとする尚七の方についほんの少し肩入れしてしまうのも、人間の情というものだと思う。2018/01/19
のびすけ
30
古河藩の下士・小松尚七は「何故なに尚七」と呼ばれ、雪の結晶の秘密を知りたいと願う。藩主の若君・利位に気に入られた尚七は、利位の御学問相手として雪の結晶の研究をすることに。物語は、雪の研究とは関わりのない当時の社会情勢を背景にした政治の話が続く。間宮林蔵、渡辺崋山、シーボルト、大塩平八郎など実在の人物が多数登場。20年をかけて「雪華図説」が完成するが、尚七の雪の研究の苦労などは全く描かれていない。この作品で描きたかったことはなんだったんだろう?という疑問を抱きつつの読了でした。2021/08/07
豆乳くま
29
古河藩の下級武士尚七、何にでも興味を持ち『何故なに尚七』の異名が。雪の結晶に興味を持っていることを買われ若殿様の御学問相手に抜擢され政治の中心を間近で見ることに。幕末に向け動乱や大飢饉が押し寄せ政情も不安定な中雪の結晶の本を出すまでに至るが。身分の低い尚七を側に置きたがる利位と忠常の本心がそれぞれ深くまた蘭学絡みで各方面の有名どころ集結しておりその中で尚七の誠実さが光りさすが西條さん、でとても良かったです。2018/06/27
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