内容説明
ライブパフォーマンスは、距離の法則に支配されている。コロナ後の舞台芸術はどうなる?
著者は早稲田大学人間科学学術院にて、劇場認知科学ゼミを主宰している。本書が取り扱うのは劇場における「距離」の問題である。
2020年3月以降、新型コロナウィルス感染症の影響により、多くの劇場で公演の延期・中止を余儀なくされている。認知科学によって「舞台」と「客席」の意味を再定義し、「客の盛り上がり」と「距離」の関係を検証。オンライン配信も含めた次世代エンターテインメントの創出につなげる一考察。
【著者】
野村亮太
認知科学者、数理生物学者、早稲田大学人間科学学術院准教授。博士(心理学)、博士(工学)。1981年、鹿児島県に生まれる。2020年4月より早稲田大学人間科学学術院にて劇場認知科学ゼミを主宰。大学時代は落語研究会に所属し、研究者となってからは、認知科学の手法で落語を追究しつづけている。著書に『プログラミング思考のレッスン』(集英社新書)、『やわらかな知性 認知科学が挑む落語の神秘』(dZERO)、共監訳に『ユーモア心理学ハンドブック』(ロッド・A・マーティン著、北大路書房)などがある。
目次
序 章:距離の法則による支配
第一章:舞台と客席との距離―境界はなぜ必要か
第二章:客と客との距離―伝播する集合的感情
第三章:劇場空間と感情同期―観客の盛り上がりは何で決まるか
終 章:新たな客席のあり方と劇場認知科学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OZ
5
第一章は分かりやすくて、納得する箇所も多々あるのだけど、それ以降〜終章までの内容と書き方は・・・ちょっと読んでてモヤモヤする。2022/08/17
Jey.P.
2
「劇場認知科学」劇場やライブの演者と観客、観客と観客の相互作用について論じた本。観客間の感情の動機が主なテーマだが、具体的な検証は今後ということで経験的に知られている話が多かった。ほかの観客との感情の同期により一体感を得て親密さが増す、ほかの観客との温度差を感じると相互作用を抑制してしまう、などの話は意識したい。オンライン配信の項を見て連想したのだが、「ゲーム実況」などはコメント欄の「空気」に実況者が反応することで、オンラインに欠けている観客間の感情同期の媒介になっているのではないかと思った。2021/02/10
Satsumaimo Marron
0
タイトル通りの内容。近接学自体は知らなかった。 舞台やライブにおける舞台と客席の距離感などについての内容。興味深いけどまだまだ新しい分野みたいなのでどう掘り下げられていくか期待2024/03/14