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内容説明
後に半グレ組織となる「怒羅権」の結成、メンバーとの交流、血なまぐさい喧嘩、拡大していく組織の裏側などをはじめとして、14歳で中国から日本にわたってきた著者の苛烈な人生が描かれる。
怒羅権はどのようにして結成され、どのようにして暴力団からも畏怖される組織になっていったのか、そして著者はなぜ13年という長い期間を刑務所で過ごすことになったのか。
現在は犯罪から距離をおき、刑務所の受刑者に対して書籍を送ることで更生を促すプロジェクトをしている著者の汪楠(ワンナン)氏。『NHKスペシャル』『ザ・ノンフィクション』などにも登場する汪楠氏が壮絶な半生をすべて語る。
犯罪集団へと変質していった怒羅権ですが、結成当初はこのような組織を目指していたわけではありません。日本社会で孤立していた中国残留孤児の子孫たちが生き残るため、自然発生的に生まれた助け合いのための集まりでした。創設に関わった古参メンバーの中には現在の怒羅権の状況を残念に思い、解散させたいという声も存在します。
この本によって自分たちのしてきたことを正当化するつもりはありません。自分たちが何者であったのか、なぜ怒羅権という怪物が生まれたのか、そして犯罪者として生きてきた私が服役を終えた今、日本社会をどう捉えているのか。自分自身の半生を振り返ることで、それを記していきたいのです。(はじめにより)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
洋
18
怒羅権の創設期メンバーの半生。2021.02.222021/06/13
剛腕伝説
16
14才の誕生日に、中国から日本に来た著者。日本人から数々の虐めを受け、自衛的行動が暴力に発展していく。その後は、有名な半グレ集団「怒羅権」の中心人物となり、ありとあらゆる犯罪を引き起こす。その成り立ちには同情すべき点はあるが、やってきた事は血も涙もない極悪非道な事ばかり。 本書では触れられていないが、多くの命を手に掛けてきたのでは?と思わせる部分も垣間見える。 盛んに「私は口がうまい」と言っているが、自らの罪を正当化する様な言い様には違和感しかない。この本を出してから、一年経たずに恐喝で逮捕されている。2021/12/09
よしのひ
11
ここに記されている事件が許されるものではない。しかし、そうなるにいたった背景には、目を向けなければならないものがあると思う。著書にもあったが選択肢が少なかったというのも1つだろう。「自分の身は自分で守る」それも言葉が分からない外国でだ。より神経を使わなければならなかったのではないかと想像する。そこで選択肢を1でも提示できれば違う道もあったのかもしれない…という「たられば」だが今からでもできる何かがあるはず。『GO(金城一紀著)』は在日朝鮮人の物語だが、似たものがあった。同じ日本で生活する者同士なのになと。2021/06/13
Mik.Vicky
9
昭和時代は社会全体が荒れていたので、中学の時の同級生とか先輩とか、殺人まではいかなくても犯罪に手を染めてしまった人、染めざるを得なかった人もたくさんいたように思う。少しは身近に感じてしまう話もあった。ワンさんもいい人の様でもあり極悪人の一面も持ち、人間の多面性を改めて知った。しかし、表に出て表社会でしっかり活動していく道を選ぶということは、一定の評価はできる気がするが、被害者からするとそんなことは言ってられないかもしれない。2021/05/06
晴れ女のMoeco
4
自分のやったことが本当に罪なのか?と実感できないところは、大変正直でよい。 Amazonレビューがひどかったからもっと舐めて読んだが、ふつうに読んで良かった。 「わたしはすべてをもう憎んでいません、反省します」みたいなキレイごとじゃなくてよい。 お父さんを許せるかって葛藤、そこよな。 …そしてこの人残留孤児二世だけど、継母が残留孤児一世ってだけで両親は中国人なのね。2023/02/05