内容説明
ヴァージニア・ウルフについて講演をしたあとのこと。
ある男がこう言った。「ウルフは子どもを産むべきだったと思いますか?」
女性の社会進出が進み、ライフスタイルがどんなに多様化しても、
わたしたちは何度でも何度でも脱力するような問いにさらされて生きている。
さまざまなかたちの暴力を受け、沈黙することを強いられつづけている。
SNSでは声を封じるためのあらゆる嫌がらせと脅しがぶつけられ、
レイプを始めとする性暴力やドメスティック・バイオレンスは一向に減ることがない。
人魚姫は地上で暮らすかわりに声を奪われるお話しだし、
「STAR WARS」三部作でレイア姫以外の女性が話すシーンはわずか63秒間に過ぎず、
女性たちを固定観念に閉じ込める物語は、進化をめぐる科学にまで浸透している。
男と女をめぐるいびつな権力構造をあばき、
辛辣に、ときにユーモラスに、すべてのひとに力を与える傑作エッセイ。
目次
イントロダクション
マザー・オブ・オール・クエスチョンズ
1 沈黙は破られる
沈黙に関する簡潔な記録
I 群島を囲む海 II 男はみな孤島 男性の沈黙 III 沈黙と檻 IV 洪水に飲まれた都市
反乱の年
フェミニズム 男たちの到来
七つの死の一年後
レイプ・ジョークをめぐる短くも幸福な近況
2 ブレイキング・ザ・ストーリー
五百万年来の郊外から逃れて
鳩が飛び立ったあとの巣箱
女が読むべきでない八十冊
『ロリータ』について説教したがる男たち
加害者が行方不明
女巨人
謝辞と出典
訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
90
ソルニット4冊目。女性たちに沈黙を強いることについて論じた、いわゆるフェミニズム本。端的な例は、女にとってあるべき生き方は一つしかないという「子どもは?」という問い。それを聞いてくる相手と状況もあるけれど、そのときに自分が固まってしまったなら、「なんでそんなこと聞くんですか?」と相手に切り返してみよう。女性はかくあるべきという考えは、「ユダヤ人はみなイスラエルを支持している。イスラム教徒はみなジハード主義者である。レズビアンはみな男が嫌いだ」と共通し、世界を小さなパッケージに包み、思考を停止(沈黙)させ→2024/01/03
アキ
78
前著「説教したがる男たち」の続編のコラム集。フェミニストの立場で舌鋒鋭く男性優位社会の矛盾を突きまくる。西洋文学の世界でも読者は男性を想定されてきた。以下本書より抜粋。「私たちは火山なのです」アーシュラ・K・ル=グウィン。「男は女に笑われるのを恐れているのです。女が恐れているのは男に殺されることです」マーガレット・アトウッド。「マリリン・モンローは彼女を見つめる者たちの快楽を映し出す鏡なのだ」ノーマン・メイラー。「沈黙についての小説を私は書きたい。人々の語らない事柄についての小説を」ヴァージニア・ウルフ。2021/04/04
ネギっ子gen
77
【希望と共に私たちは進み続ける 新しく現れた者たちと】暴力やレイプや死の可能性などをちらつかせ、一方的な権威と権利を主張することにより女性を黙らせ、男性にはもの言わぬ男らしさのみを受容させる“沈黙の構造”を、米国の現代社会史・文化史を振り返りつつ明らかにした書。<本書は北米において、そして世界中で再活性化したフェミニスト運動がもたらした法律上の変化だけでなく、急激な社会的変化についても論じている。そうした変化は、同意や権力や権利、ジェンダーや声、表象といったものについての私たちの理解を刷新するものだ>。⇒2023/11/24
みねたか@
37
家庭そして社会の中でいかに女性たちが沈黙させられてきたか。フェミニストの立場から語るコラム。舌鋒鋭く,ユーモアにあふれかつ温かい。それは女性はもちろん男たちに対してすら示される連帯のまなざし故か。書中の一文「そもそも読むことの意味は,自分のジェンダー(そして人種,階級,志向,国籍,歴史的状況,年齢,健常性)を探求し,ときにはそれを超越して,他者になる経験ができる」。本書で私も他者の視点に少し近づけたのは間違いない。巻末「女巨人」は映画「ジャイアンツ」に寄せた考察。これがまた魅力的。2022/06/23
星落秋風五丈原
28
男性にとっては黙っている女がいい女なんだろうと感じる昨今の出来事。2021/03/20
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