内容説明
彼女は闇の世界から光が見えるほうへ這いあがろうとした。とたんに焼けつくような痛みが全身を貫いた。もう耐えられない。いっそ、目を閉じて死に神にこの身を任せようか。そのほうがどんなに楽だろう。「生きろ！」男の力強い声が聞こえた。誰が励ましてくれるのか、彼女は声のしたほうに耳をそばだてた。朦朧として、重いまぶたを開ける。「闘うんだ」光が射し、男の顔がぼんやりと視界に入った。まるで命綱のように、彼の声が彼女を生者の世界へと引き上げた。★ＨＳ－２２７『女伯爵の名誉』の関連作品です。前作でイングランド王子ジョンの部下だったウィリアム・デセヴェリンが、今回のヒーローです。★
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばん
5
「女伯爵の名誉」でジョンの部下だったウィリアムがヒーロー。いくら妹を人質に取られていたとは言え前作ヒロインにしたことを思うと、今回のロマンスにあまりハマり込めなかった。前作読んでもう少し時間あけたらよかったかな(；´∀｀) ウィリアムの主のオリック夫婦が気になったので関連作「王の愛人」を読むのが楽しみ。2017/11/10
める
3
この作家さんのシリーズには全体的に暗く淀んだ空気がただよっている感じ。ひと言では説明できないような作品。罪を犯し身を隠す男と殺されかけ記憶を失った女。ロマンス面は楽しめた。2013/09/19
くろうさぎ
1
三部作とは知らなかった。しかも、読むのが最後になってしまった。前作のあの人が世捨て人のようになって、しかもヒーローに････。ヒロインに起きた出来事もあまりにも醜くて悲しい。二人は幸せになってほしいけど、ヒロインを貶めた人たちが、報いを受けないのが納得できないわ～～～！2011/11/05
こえん
1
この人がヒーロー？きっつー、前作では悪役だったもの（被害者でもあったけど）。完全記憶喪失ヒロインの境遇もイタすぎ～。だけど、過去を忘れようとするヒーローと過去を思い出そうとするヒロインの対比は良かった。ヒーローが仕える城主夫妻も結構楽しかったけど、このふたりの過去が『王の愛人』かと思うと複雑。2009/03/27
