内容説明
あの日から10年――。巨大災害が人々の心にもたらしたものとは? 2011年の東日本大震災における津波被災に焦点をあて、巨大災害が人々の心に与えたトラウマと余波に外国人ジャーナリストが迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちえ
43
書かれているその日の出来事、その重さ、苦しく何度も中断しながら読み終えた。作者は大震災時、東京にいた英国タイムズ誌東京支局長。震災直後から被災地に通い、何年にも渡り人々への取材を続けた。大川小学校で何がおきたか、生存者、遺族、地域に焦点を当て、同時に外国人ならでの視点で日本、日本人への分析は今まで読んだものに無かったもの。また日本人と「霊」との関係にも頷かされるところが多い。遺族や裏山に逃げ生き延びた子どもたちの今を思う。2024/03/09
まさ
31
真摯な取材で現地の人たちの心情を捉え、客観的に状況をまとめていく筆者のルポが素晴らしい。大川小学校の訴訟問題など、自分の心に何かしら引っかかっていたもの、今まで見えていなかった部分も見えてきた。断片的な報道だけではなかなかわからない部分も伝わってくる。2021/09/05
Akki
16
東北は大学4年間を過ごした地だ。私がいたのは日本海側だったが、卒業の翌年に、震災が容赦なく襲いかかった町の名や決壊した川の名は、さまざまな友人との故郷話で聞いたことのある場所だったから、他人事には思えなかった。あの頃の報道で特に心が痛かったのは、大川小学校の子どもたちの犠牲に関するものだった。可愛い形の校舎が泥や漂流物によって汚されている画像が、悲惨さを一層高めていた。規律正しい国民性だからこそ起きた、あまりにも辛い出来事である。大人は決して誤った規律で子どもを縛ってはならない。あの頃から強く感じている。2024/09/21
ゆうすけ
14
これは凄まじい傑作。単行本から2年で文庫化した早川書房の英断に敬意を表したい。震災から10年というタイミングで是非多くの人に届いて欲しい本だ。それにしても外国人の視点で語られる日本の姿は非常に新鮮。そうかこういう風に映るのかと納得することしきり。英国人の著者の筆は非常に誠実だけど一方で遠慮なくズケズケ感が爽快でハラハラでもある。それにしても描写というか、テンポが見事です。正直結末はわかっているので読んでいて辛くなる所はあります。先に進む覚悟感がいる本でもある。ちなみに最後の僧侶のエピソードが若干中途半端。2021/02/11
Satoshi
13
英国人ジャーナリストによる東日本大震災での大川小学校の悲劇に関するドキュメント。大きな悲劇の前に真実解明のために戦う遺族と一方でその幻に苛まれる方々を親身に描いている。中盤で日本人は我慢ばかりせずに怒ったほうがいいのではないのか、(当時の)安部一強状態がなぜ続くのかといった問いには考えさせられる。ステファン・エセルによる「怒れ、憤れ」という名著があるが、あまりにも環境に迎合しすぎる日本において、著者の記す「民主主義の赤字」が発生してしまうことは必然なのか。考えさせられる名著だと思う。2021/05/06
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