内容説明
お世辞にも清潔とはいえぬ姿に敵意むきだしの目。シーラは6歳にして傷害事件を起こし、トリイの特殊教室に送られてきた。決してしゃべろうとせず泣きもしない。ときに怒り狂い金切り声をあげ大暴れする。だが実は、ずばぬけた知能の持ち主で、心身に深い傷を負っていた…。暴力、貧困、虐待に蝕まれた少女が堅く閉ざした心をおそるおそる開き、一人の献身的な教師と深い信頼の絆で結ばれてゆく姿を描いた感動のノンフィクション、待望の復刊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
89
子供のドキュメンタリーには最も涙脆く、心揺さぶられ、愛おしく、学びがある。シーラに会いたい想いが募る一方だから続編もワクワクしている。どんな子供にだって愛情以上の心の瘡蓋の薬はないだろう。抱き締め合う。ただそれだけで絶望世界から光輝くのだから。資格がなくても子供に囲まれる環境にいられることは羨ましい。大人も子供も対等に学びあえるのに。寧ろ収穫は大人と戯れること以上にあるのに。シーラの天才の喜びのシーンがお気に入り。人間の特権の象徴だ。2021/03/17
まこ
15
シーラは勿論、父親も愛情の与え方を知らない虐待の連鎖。所謂、問題児を集めたクラスの担当だったとはいえ、著者がシーラと真正面から向き合って問題を解いていく。途中でバッドエンドも頭よぎったよ。後半にシーラに起こったある事件筆頭にシーラのことをクラスメートに理解させるにも難しい。著者が落ち込んだりする箇所は少なくけど、本当はもっとあったんじゃ。2022/02/16
ゆうき
13
26年ぶりの再読です。いつ読んでも感動を覚える。親の愛情を知らずハイウェイに捨てられた小さな少女シーラと問題のある子供達を心から愛し教育するトリィの壮絶な物語。虐待のシーンは目を逸らしたくなるけど、本当に可愛らしいシーラに読者も惹き付けられる。繰り返し、根気強く関わる事により凍りついたシーラの心も溶けだしていく。私の人生に影響した大切な1冊です。2021/12/27
らびぞう
6
11月の寒い夕方に、女の子は3歳の男の子を連れ出し、その子を近所の植林地の木に縛りつけて火をつけた。男の子は、地元の病院に入院中で重体だと言う。そうして、この女の子は、まだたった6歳だった。彼女の名前は、シーラ。精神科病院の小児病棟に空きがなく、著者トリイ・ヘイデンの受け持つ「くず学級」と呼ばれるクラスに編入することとなった。シーラは、1月8日にやって来た。艶のない髪に敵意剥き出しの目をしたちっぽけな子ども、それがシーラだった。「星の王子様」の愛について語り合う。無条件に愛するって?考えさせられる。2023/08/15
しゅー
6
痛みからも苦しみからも救われることの無かった小さな少年が居て、1人の大人になっているのだ。 そういう人に気配りをしてあげるだけの充分な人間が居たら、無条件に愛してあげられる人が居たら── 心が痛い でもとても分かる。2022/10/18