内容説明
人は、どのように他者と出会い自己を形成していくのか? さまざまな「私」
の衝突をどう調整しているのか? ジェームズの自己論、エリクソンのアイデ
ンティティ論、ハーマンスの対話的自己論……多彩な理論から自己形成の本質
を解き明かす。
目次
はじめに
■第I部 自己形成の根源としての他者
第1章 他者とつながろうとする力
第2章 他者を一体的な関係で学習する
第3章 他者へのポジショニング
第4章 他者の森をかけ抜けて自己になる1
■第II部 青年期の自己形成論
第5章 自己発達から自己形成へ
第6章 対話的自己の世界観1
第7章 対話的自己の世界観2
第8章 ポストモダン社会におけるアイデンティティの二重形成プロセス
第9章 他者の森をかけ抜けて自己になる2
あとがき
注
参考文献
引用文献
自己論へのスタディガイド
人名索引
事項索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
28
自己形成の心理学―他者の森をかけ抜けて自己になる。溝上慎一先生の著書。自己形成は他者との出会いを通じてできるもの。他者の森をかけ抜けて自己になるという素敵なタイトルに本書の内容の本質が凝縮されています。2018/12/28
きいち
21
アイデンティティ論に感じる「なんやその綺麗事…」的な不満の源をすっぱり解明し、返す刀で僕らが一番普通に感じる「自己」を解き明かしてくれる良い本。◇僕が綺麗事と感じてきたのは、青年期にさまざまの課題をうんせうんせと乗り越え一つの統合された自己ができあがり、はい、いっちょあがりっていう蛹→蝶的な自我観。そんなん、まだまだ子供ちゃうん?と。大人たるべきもの、矛盾する自己の間をあんじょう調整していくもの。その調整スタイルにの中にこそ、自我があるように思える。できあがってしまわないからこそ、生涯、成長できるのだし。2014/05/29
かみゅ
2
近頃はアクティブ・ラーニングで儲k……もといよくお見掛けする筆者だが、本業はこちら。「他者の森をかけ抜けて自己になる」の喩えがそのまんま著者のポジショニング概念をあらわしているといって過言ではない。自分が思っている自分と、他者から見た自分が整合性を保つように調整しながら、人は自己形成を行うのだという。著者は京大教授。高学歴イケメンだが独身。
アロ恵
1
対話的自己の端的なまとめとしてよい2009/01/11
YH
0
幼児に接するうえで本当に必要なことはこういうことだと思う。 幼児教育はこの大前提があって初めて成り立つ。アタッチメントの重要性。 「お腹がすいた、おしっこをした、などの、不快感をもって、自分が外界世界に何か応答を求めた時に外界世界は自分に温かく応答してくれるのか、あるいはいくら求めても外界世界は自分にとって冷たいものなのか。赤ちゃんはそういう理屈抜きの世界への信頼を、養育者を中心とする特定の他者との情緒的関係を通して形成する。特定の他者との関係が単なる関係性の問題で済まず、人がこころの根源で持つ世界へ2012/12/27