講談社文庫<br> あやめ 鰈 ひかがみ

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講談社文庫
あやめ 鰈 ひかがみ

  • 著者名:松浦寿輝【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 講談社(2021/01発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062761819

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内容説明

幽明の境を彷徨う魂。交響し合う3つの物語――冥界への入り口に咲くというあやめの名を持つスナックで、同級生との再会を待ち望む男。酒宴のために仕入れた鰈を詰めたアイスボックスを抱えたまま、地下鉄から降りることのできない男。横たわる妹のひかがみに触れた手が、噛み千切られる妄念に陶然となる男。妖しく絡み合う3つの物語。木山捷平文学賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しずかな午後

10
松浦寿輝の小説を読むのは二冊目だが、だんだんとその空気感が分かってきた。今作は「あやめ」「鰈」「ひかがみ」という三作の連作短編集。主人公となるのは、いずれも半分死んでいるような男たち。何もかもが手遅れの、宙ぶらりんのまま、ほとんど頭も回っていないような男たち。とくに「鰈」のイメージは印象的だ。魚のカレイの入ったクーラーボックスを抱えた男が地下鉄をさまよう。しかし、買ってからどれだけの時間が経ったのか男にもわからない。ぷりぷりと新鮮なままなのか、それとも腐ってどろどろに溶けているのか、男はそれを抱え続ける。2024/07/09

祐紀

6
松浦寿輝節と言い得るであろう、この現と幻との交錯、出入り。夢とも現実とも言えない、曖昧な時間での出来事。素晴らしい。2009/05/04

tomo*tin

5
生と死の狭間に揺れる一夜の夢。美しく描かれる三つの頽廃。全く違う三篇ですが、それぞれがリンクし交差しながら素敵な幻想世界へと強制連行してくれます。とにかく「あやめ」は絶品。そして「鰈」で鳥肌。2008/11/13

いのふみ

4
死んでいるのだろうが、死んでいないような醒めた意識による宙吊りの感覚に、冒頭から引き込まれた。泥濘の夢幻世界をつくりながら、現実と接地したままの絶妙な塩梅はどうやってつくられるのか、その手法が気になった。2020/09/18

真夏日和

3
「あやめ」の始まりかたが好きだと思う。事故で死んだ木原が立ちあがり死んだことを分かりながらずれた記憶の中を歩いていくところ。隣り合わせの記憶の世界では死者が生者のように動いている。「鰈」は「あやめ」にも出てきた土岐が死者の地下鉄に載って地獄の世界に足を踏み入れていくまでが書いてあった。これはちょっと微妙。明らかな社会的強者と弱者の色分けが苦手なんだと思う。弱者の気持ちを上から書いてあるように読めてしまうのが苦手。性的な弱者も。2024/09/15

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