内容説明
「私は犯人を知りたいんです。私に与えられた時間は――もうきっと長くないから」
死者複数名を出した凄惨なキャンプ場放火事件から10年。僕の前に、同じ事件の生存者・静葉が転校生として現れる。事件当日に怪しげな男と遭遇したと言う静葉だが、彼女は“失貌症”――人の顔が認知できない病だった。
差出人不明の脅迫状、黒服の男、不審火の記録。10年を経て再び事件は動き出す。
これは――僕が静葉へ捧ぐ【贖罪】の物語だ。
ラスト僕らは「愛」を知る。二度読み必至の青春ライトミステリ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
52
死者複数名を出した凄惨なキャンプ場放火事件から10年。その生き残りの高校生・新塚良の前に、同じ事件の生存者・静葉が転校生として現れる青春ライトミステリ。久しぶりに再会した静葉から協力を依頼される、10年前の放火事件の犯人探し。失貌症の彼女が遭遇していた黒服の男、差出人不明の脅迫状、不審火の記録。最初、物語の構図自体はシンプルなものに思えましたが、そこから徐々に新たな真相が見えてくるたびにその形を大きく変えていって、読み終わってから改めてタイトルを見返すと、それの持つ意味がじわじわと来る印象的な物語でした。2021/01/22
坂城 弥生
47
生きづらさを持っている子供たちと家族が巻き込まれた火事。それから10年再会した彼らは火事の原因を調べ始める。2021/05/25
かっぱ
18
転校生として現れた少女と10年前のキャンプ場放火事件の顛末を解き明かす物語。ライトミステリでありながらも青春色の強いお話だった。失貌症という設定を上手に調理して描かれる人間関係の結末に今は納得している。いつだって大事なのは真実ではなくて、心の蟠りを晴らすことのできる確かな納得感で。10年越しに解き明かされた顛末は別の意味での贖罪なのかもしれない。だからこそ幕引きでの良と静葉のやり取りが印象に残っている。顔を知らなくたって知っていることがある。だからこれは心の物語なのかなと読み終わったときにぼんやりと感じた2021/02/04
日坂愛衣
15
事前はミステリーと思った、読む途中はなんとなく真実を気づいた、やはりこれはミステリーより青春ラブコメ寄りな感じがする。三人がそれぞれの痛みを抱える、そして自分なりに向き合う。確かに静葉は良の”顔”を知らない、でも彼女はきっと良の”心”がわかる気がする2021/01/24
ツバサ
14
青春、ミステリー、キャラの関係性をバランス良く混ぜていて読み終えたときはスッキリしました。ただ、ミステリーを期待していたので物足りなさがありました、トリックや真相にはそういうことかと唸りました。2021/01/22