内容説明
「人はひとつの愛し方しかできないの。あなたは若いからまだわからないだろうけれど、いつかきっとわかるはず。ほんとよ。ある日突然気がつくの。自分ができる人の愛し方はこれなんだって──」
僕と、図書館で出会った彼女。アパートの部屋で、海の見える公園で、知らない町で……いたるところで交わしたありきたりの会話は、どうしようもないせつなさを纏い、かけがえのない日々の記憶と結びついている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でら
6
この1ヶ月で1番心に残った本です。まだ名は知られていないのかもしれませんが、この方の「愛」や「喪失」といったテーマに対する描写は個人的にとても好みでした。 お互い相容れない所があったりするのは当たり前でもあり、そしてその関係が無くなった時の「僕」の、あたかも欠陥品のような物語はどこか私自信揺さぶられるものがありました。2021/01/31
金木犀
4
著者の経歴と物語の主人公があまりにも似ているので、ノンフィクションの可能性を考えながら読んだ。『ノルウェイの森』へのリスペクトを感じる程に愛と喪失、そして孤独を中心に描いた物語だった。突然の喪失に対して、主人公が痛みを痛みのまま受け入れて人生を進めていく様子が良かった。2021/02/26
CEJZ_
3
1P15行。書店で 今年の1月下旬、書店へ行くと新刊単行本の棚に聞いたこともない作家の本が並んでいた。著者紹介には簡単な経歴のみがあり、年齢や作品歴などの記載はなかった。僕は知らない作家でも興味を持てば積極的に読むほうで、何となくその本が気になり買って帰って家で読んだ。読み初めてすぐにモエガラという作家が頭に浮かんだ。忘れられない恋愛と虚無感を内包し現在があるといった構成で、そのような作品は時々現れるようにも思うし、感動よりもそれらは誰に向けての、どんな層に向けてのマーケティングなのかと考えたりした。2021/01/25
通勤快読
0
おはなしは、孤独感、孤立感、虚無感、喪失感、退廃感で終始。なんか届かない、納得できない、もどかしい、寂しい、自分がわからない。1人がいいと言いつつ依存的。大人になれないモラトリアム?延々と淡々と後ろ向きに進むがなぜか最後まですっと読めるし、気持ちの揺れ動く様にじんわり共感。2024/09/11
天津飯
0
僕も彼女もわたしに似ていて、心臓に強く刺してくる感じで全部痛くて愛おしかった、わたしが流した涙で僕の心を少しでも潤せたらいいなあと思う2024/06/08