内容説明
初代神武天皇以来、男系皇位継承に断絶がなかったとするのは、明治政府の創出だった! 『古事記』『日本書紀』の天皇系譜に加え、考古学資料、文化人類学の視点から母系社会系譜の調査資料をひもときながら、日本古代における族長位継承の源流に迫る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
17
面白くて一日で読了した。古代日本では父系・母系両制社会であり、女性天皇もごく自然に存在した。しかし当時の中国の唐帝国を模倣して父系制であるかのように古事記・日本書紀の天皇系図を書いてしまい、古代から男系による万世一系の皇位継承が行われているかのような思い込みが発生したと言うのが趣旨。古代史研究者の遠山美都男氏も古代天皇は有力氏族が擁立していたので記紀の記述通りの皇位継承は実際に行われたとは考えにくい、と言っていたはず。いい加減男系の万世一系の皇位継承と言う幻想にしがみつくのは止めた方が良いと思う。2021/05/19
百式改(公論サポーター東海)
8
文化人類学者らしく「アニミズム」を中心に語る。 古代の古代はなるほどと思わせる。文献の無い時代を志那大陸長江流域の少数民族の調査から類推する手法も見事 まぁ男系派は納得しないだろうけど。2021/04/10
よしあき
6
結論にはまったく同意できないが、非常に読んで意味のある本だった。 この本を読んでも私自身が男系絶対論であることは変わらないが、万策尽きて女系天皇が誕生した際には、この世の終わりではあるが慰めもあるという考えをもてた。 本としては、著者の研究テーマである中国の少数民族の話題が必要以上に多かったが、古代日本の血統の考え方やアニミズムについてまとめられており、良かった。2021/01/17
百式改(公論サポーター東海)
4
古代研究が進めば進むほど、日本社会は双系継承だったと判明する。しかし、皇統に血統を超える価値などみつかるのだろうか? 世襲を続ける限り血統は必要条件からは外れないだろう。2023/05/04
てっちゃん
4
「古事記」「日本書紀」には、時の権力者が自己を正当化しようという意思があったことは否定出来ないだろうし、明治維新にもそうした面があったと思う。そうした視点を持って天皇制を考えるのは意味があると思った。著書の意見には概ね賛成するが、もう少し現代的視点からの考察が必要だろう。2021/03/26