中公新書<br> 民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

個数:1
紙書籍版価格
¥902
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

中公新書
民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代

  • 著者名:藤野裕子【著】
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 中央公論新社(2021/01発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026057

ファイル: /

内容説明

現代の日本で、暴動を目撃する機会はまずないだろう。では、かつてはどうだったのか。本書は、新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺という四つの出来事を軸として、日本近代の一面を描く。権力の横暴に対する必死の抵抗か、それとも鬱屈を他者へぶつけた暴挙なのか。単純には捉えられない民衆暴力を通し、近代化以降の日本の軌跡とともに国家の権力や統治のあり方を照らし出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

132
2021年新書大賞第4位。 日本では 忘却されがちな 民衆による一揆を 取り上げた書である。新政府反対一揆・秩父事件・日比谷焼き討ち事件・関東大震災時の朝鮮人虐殺の四事件を題材に 民衆暴力の視点から 歴史を描く。ネットやテレビがなかった時代に 民衆は何を思い、立ち上がったのか? 自警団の集団心理が怖い…国家の暴力が 暴力を行使する論理が 形を変え、今も存在するのか?そんな読後感だった。2021/04/02

rico

120
重い・・・。歴史の授業では流されがちな民衆起点の一揆や暴動。4つの事件を例に考察。近代化により国家が暴力の独占と統制を進める中、民衆の怒りの矛先は国家権力ではなく、自らの暮らしを脅かすと見做されたものに向かう傾向を強める。多分、その最悪の帰結が関東大震災時の朝鮮人虐殺。国家から暴力を付託されたという認識と「男らしさ」を称揚する価値観の結合の果てに生まれた「天下晴れての人殺し」の言葉に、戦慄するしかない。人とはそういうものだという救いのない結論に至りつつ、それでも、とあがきたくなる。近代史、もっと学びたい。2021/04/27

trazom

108
新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺の4件が取り上げられている。国家権力への抵抗の手段として民衆に暴力が許されるかという議論かと思いきや、これらの事例を通じて見せつけられたのは、民衆の暴力が、被差別部落への襲撃や朝鮮人虐殺など、弱者に向かっているという真実である。仁政が失われた政治、国家権力による民衆暴力の誘発などに問題があるとしても、「民衆」というものの本性が露わになった歴史を前にして、民主主義の主役たりうるのかと自らに問いたくなる。何とも暗く、切ない読後感である。2021/01/27

1959のコールマン

95
☆5。アメリカの白人たちの黒人への暴力の歴史を学ぶにつれ、では日本では「民衆の暴力」がどのような形をとったのか知りたくなり、本書を読んだ。やはりそこには対権力だけでない、マイノリティーに対する差別から来る暴力もあった。明治初期の新政反対一揆のなかで、被差別部落襲撃があったなんで初めて知った。とくにハイライトと言えるのは関東大震災時の朝鮮人虐殺の記述。なんと公権力(警察等)がデマを積極的に拡散したこと、積極的に虐殺に関わったこと。驚愕! 2020/09/13

skunk_c

82
ほぼ近代以降の民衆の暴力事件について、その構造を解き明かそうとする労作。序章で江戸時代の一揆を取り上げながら明治の新政府反対一揆に繋ぎ、それを秩父事件との関連で見せていくあたりの手法は斬新で読ませる。また、日比谷焼き討ち事件に見える「男らしさ」は本書での著者の到達点として重要で、それを関東大震災時の朝鮮人虐殺に繋ぐ視点は新鮮だった。ただし、2章を割いた割に関東大震災に関しては物足りなさも。それは当時の(そして現在にも繋がる)在日朝鮮人に対する歴史的な差別構造が十分位置づけられていないと感じられるところ。2020/09/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16291093
  • ご注意事項

最近チェックした商品