内容説明
一九九〇年一〇月三日.第二次世界大戦の敗戦によって東西に隔てられていたドイツは,ふたたび統一された.この出来事は,冷戦末期の変容する世界政治がヨーロッパにもたらしたもっとも大きな成果であり,その後のすべての始まりでもあった.さまざまなアクターの思惑を越えて進む市民革命を,傑出した歴史家が明快に描く.
目次
凡例┴第1章 革命前夜┴1 ソヴィエト帝国の終焉┴ゴルバチョフの登場とペレストロイカ/ブレジネフ・ドクトリンの放棄/ポーランドとハンガリーの転換┴2 東ドイツの構造的問題┴体制崩壊の三つの要因/経済の内実/社会における価値観の転換/正統性の欠如と抑圧┴3 反対派運動と東ドイツ指導部の危機┴地方議会選の歪曲/反対派グループの形成/SED指導部の麻痺┴第2章 平和革命┴1 難民危機┴パンヨーロッパ・ピクニック/ハンガリーによる国境開放/西ドイツ大使館を経由した脱出┴2 体制危機┴大衆デモの広がり/一〇月九日,ライプツィヒ/ホーネッカー失脚/クレンツの「対話」路線の失敗/市民運動の絶頂┴3 国家危機┴続く出国問題/一一月九日,ベルリンの壁崩壊/SED支配の終焉┴第3章 国民をめぐる転換┴1 市民運動の分裂┴反対派グループの当惑/ドイツ統一問題の浮上/反対派の指導者たちと大衆の乖離/円卓会議の成立┴2 西ドイツ政府とコールの一〇項目計画┴西ドイツ国民とドイツ統一問題/コール政権のドイツ政策/ベルリンの壁崩壊と「一〇項目」の発表/東ドイツのムードをつかんだコール┴3 各国の反応┴ソ連の反応/イギリスとフランスの反応/アメリカの反応/国際的な抵抗┴4 終焉に向かう東ドイツ┴モドロウ政権の発足/シュタージ本部の占拠/さらなる経済状況の悪化と移民の波/円卓会議の苦渋/西ドイツの優位┴5 統一への転換点┴西ドイツにおける楽観論/通貨同盟の提案/東ドイツの選挙戦/「ドイツのための同盟」の勝利┴第4章 再統一と世界政治 なぜ迅速な再統一が可能だったのか┴1 「2+4」と「2+1」 国際的なプロセス┴ゴルバチョフの方針転換/ミッテランとサッチャー/「2+4」の始動/西ドイツとアメリカの団結┴2 ドイツ=ポーランド間の国境問題┴オーデル=ナイセ線をめぐるポーランド側の不安/内政に配慮するコール/三月八日の連邦議会決議をめぐる紛糾/決着┴3 同盟問題┴米ソ首脳会談での驚き/西ドイツによる経済支援/第二八回ソ連共産党大会とNATOロンドン宣言/独ソ首脳会談での合意┴4 ドイツ統一とヨーロッパ統合┴経済通貨同盟の歩みと独仏の相違/ベルリンの壁崩壊と独仏の妥協┴5 戦後の終わり┴「2+4」条約/ドイツ統一プロセスの勝者と敗者┴第5章 編入による統一┴1 統一への道┴デメジエール政権の発足/第一国家条約/第二国家条約(統一条約)/新連邦州の形成┴2 通貨同盟と産業空洞化の衝撃┴通貨交換レート問題/信託公社の設立/誤算の露呈/信託公社の解散/信託公社の決算/新連邦州の構造的問題/再建の成果┴3 変革のなかの社会┴急激で徹底的な転換/就業構造の転換と社会的不平等/東ドイツ人の失望と「オスタルギー」┴4 統一のコスト┴比類なき規模の移転/コストの内実┴5 他に選択肢はあったのか?┴結語 歴史のなかのドイツ統一┴訳者解説┴略語表┴解題付き文献表┴関連年譜┴人名リスト
感想・レビュー
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skunk_c
崩紫サロメ
nishiyan
coolflat
紙狸
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