岩波新書<br> ドイツ統一

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岩波新書
ドイツ統一

  • 著者名:アンドレアス・レダー/板橋拓己
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2021/01発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
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  • ISBN:9784004318477

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内容説明

一九九〇年一〇月三日.第二次世界大戦の敗戦によって東西に隔てられていたドイツは,ふたたび統一された.この出来事は,冷戦末期の変容する世界政治がヨーロッパにもたらしたもっとも大きな成果であり,その後のすべての始まりでもあった.さまざまなアクターの思惑を越えて進む市民革命を,傑出した歴史家が明快に描く.

目次

凡例┴第1章 革命前夜┴1 ソヴィエト帝国の終焉┴ゴルバチョフの登場とペレストロイカ/ブレジネフ・ドクトリンの放棄/ポーランドとハンガリーの転換┴2 東ドイツの構造的問題┴体制崩壊の三つの要因/経済の内実/社会における価値観の転換/正統性の欠如と抑圧┴3 反対派運動と東ドイツ指導部の危機┴地方議会選の歪曲/反対派グループの形成/SED指導部の麻痺┴第2章 平和革命┴1 難民危機┴パンヨーロッパ・ピクニック/ハンガリーによる国境開放/西ドイツ大使館を経由した脱出┴2 体制危機┴大衆デモの広がり/一〇月九日,ライプツィヒ/ホーネッカー失脚/クレンツの「対話」路線の失敗/市民運動の絶頂┴3 国家危機┴続く出国問題/一一月九日,ベルリンの壁崩壊/SED支配の終焉┴第3章 国民をめぐる転換┴1 市民運動の分裂┴反対派グループの当惑/ドイツ統一問題の浮上/反対派の指導者たちと大衆の乖離/円卓会議の成立┴2 西ドイツ政府とコールの一〇項目計画┴西ドイツ国民とドイツ統一問題/コール政権のドイツ政策/ベルリンの壁崩壊と「一〇項目」の発表/東ドイツのムードをつかんだコール┴3 各国の反応┴ソ連の反応/イギリスとフランスの反応/アメリカの反応/国際的な抵抗┴4 終焉に向かう東ドイツ┴モドロウ政権の発足/シュタージ本部の占拠/さらなる経済状況の悪化と移民の波/円卓会議の苦渋/西ドイツの優位┴5 統一への転換点┴西ドイツにおける楽観論/通貨同盟の提案/東ドイツの選挙戦/「ドイツのための同盟」の勝利┴第4章 再統一と世界政治 なぜ迅速な再統一が可能だったのか┴1 「2+4」と「2+1」 国際的なプロセス┴ゴルバチョフの方針転換/ミッテランとサッチャー/「2+4」の始動/西ドイツとアメリカの団結┴2 ドイツ=ポーランド間の国境問題┴オーデル=ナイセ線をめぐるポーランド側の不安/内政に配慮するコール/三月八日の連邦議会決議をめぐる紛糾/決着┴3 同盟問題┴米ソ首脳会談での驚き/西ドイツによる経済支援/第二八回ソ連共産党大会とNATOロンドン宣言/独ソ首脳会談での合意┴4 ドイツ統一とヨーロッパ統合┴経済通貨同盟の歩みと独仏の相違/ベルリンの壁崩壊と独仏の妥協┴5 戦後の終わり┴「2+4」条約/ドイツ統一プロセスの勝者と敗者┴第5章 編入による統一┴1 統一への道┴デメジエール政権の発足/第一国家条約/第二国家条約(統一条約)/新連邦州の形成┴2 通貨同盟と産業空洞化の衝撃┴通貨交換レート問題/信託公社の設立/誤算の露呈/信託公社の解散/信託公社の決算/新連邦州の構造的問題/再建の成果┴3 変革のなかの社会┴急激で徹底的な転換/就業構造の転換と社会的不平等/東ドイツ人の失望と「オスタルギー」┴4 統一のコスト┴比類なき規模の移転/コストの内実┴5 他に選択肢はあったのか?┴結語 歴史のなかのドイツ統一┴訳者解説┴略語表┴解題付き文献表┴関連年譜┴人名リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

64
ちょうど統一30周年を迎えた頃に翻訳なって出された概説書。自分が同時代に生きていた海の向こうの出来事を、すっきりとまとめてもらった印象。ドイツ内の政治として、必ずしも西ドイツとの統一を望んでいなかった東ドイツ反体制派を、国境や壁が崩れて実際の西ドイツの繁栄を見てしまった大衆が飲み込んでいくさま、国際的には東西の庇護者であるゴルバチョフとブッシュの「合意」が決定的であったこと、そしてこのふたつの事象を絡めながら西ドイツのコール政権が統一にまとめ上げていったというところか。見取り図を得るには最適の書と思う。2020/10/11

崩紫サロメ

23
1990年のドイツ統一を対内的側面と対外的側面を総合して、しかも学術的なレベルで叙述した希少なものといえる。また、ナポレオン時代からのドイツ中長期的な市民運動の流れの中に1989/1990を位置づけている。レダーの著作が日本語に訳されるのは始めてということもあり、その経歴や政治的スタンスも詳細に解説されている。翻訳では「ドイツ統一」となっているが、原題はWiedervereinigung(再統一)であり、その2つの語の政治的姿勢の違いなどの解説もあり、充実した新書。2020/11/18

nishiyan

22
「ドイツ統一」前夜から統一に至るプロセスを東西ドイツのおかれた状況、冷戦下の東西両陣営の反応まで含めて叙述された入門書決定版。ゴルバチョフの登場、東欧革命、それらの余波は東独SEDによる支配体制を崩壊へと導いていく。SED崩壊後の第三の道を模索した東独反体制派と後継政権の動き、西独・コール政権のドイツ統一政策、米英仏ソ戦勝国との統一に向けた交渉、統一に向けての諸課題とバランスよく適度な分量で解説されているため、読みやすい。様々な俗説が付きまとうドイツ統一だが本書を読めばこれらは妄説であるとわかるだろう。2020/10/08

coolflat

17
米ソ英仏のうちドイツ統一に対し、ソ英仏は拒絶的な態度を取っていたということを知った。これら三国は統一によってドイツが巨大国家になることを恐れたのである。冷戦が崩壊しつつある中、統一を妨げることは既に不可能になっていた。そこで三国のうち特に英仏は妥協案として欧州統合の深化を進めた。統一ドイツを(将来の)EUの一部にすることで、ドイツという巨人を大人しくさせるという魂胆であった。そのための中心的な道具が欧州統一通貨であり、それによってドイツ・マルクの経済的優位とドイツ連邦銀行の高金利を打破するつもりだった。2022/10/13

紙狸

16
2020年刊行。原著の初版は2011年刊行。訳者解説によると、著者アンドレアス・レダー氏は「ドイツで最も精力的に活躍している現代史家のひとり」だという。東西ドイツ統一を、国際関係、東ドイツ国内、西ドイツ国内という多角的な視角から描く。統一の対外的側面(統一ドイツのNATO帰属問題など)は、東西ドイツと戦勝4か国(米英仏ソ)による「ドイツに関する最終規定条約」で決定された。統一プロセスをすべての交戦国との講和会議で座礁させないために、選ばれた道だった。2025/01/23

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