内容説明
親子三代の人生と記憶、 土地の歴史が重ねられる京都を舞台とした「もどろき」、 十代の旅の思い出と、 北サハリンで出会った人々との交流と描く「イカロスの森」。 芥川賞候補にもなったふたつの「旅」をめぐる作品と、 初の書籍掲載となる小説「犬の耳」、書き下ろしの解説を所収。
池澤夏樹 推薦
血族、旅先の出会い、淡い恋、人と人は言葉を交わし、運命の舞台でゆっくりと舞う。背景には京都やサハリンの地名が星座のように刻印されている。季節は移り、生きることが大らかに肯定される。たとえ私たちが「いかなる歓喜の中にあっても無限に悲しい」としても。 この二篇の小説を読み終わるとどこか遠くへ行きたくなる。結局のところ世界は美しい、と思えてくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
minazuki
15
新刊=新作と思い込んで買ってきたら、2001年・2002年に刊行されたもの。読み始めたら面白い。引き込まれました。/「もどろき」自転車を偏愛する米屋の祖父。祖父の養子で、市役所勤めののち、60歳代で自ら命を絶つ父。小説を書き始めた私。作者自身の一族の物語のようである。もどろきとは、京都の北にある環来神社のことで、故郷に帰り来れるといういわれがある。/「イカロスの森」温泉宿の主人から聞いたサハリンの話。そこから発展して、「死の黒い湖」を求めて北サハリンを旅する。旅ってこういうものだと思わされる物語。2020/12/09
hasegawa noboru
8
「もどろき」老後考え抜いた末、自死を選んだ父、そのあと病死した血縁はない祖父の話。記憶を整理したどる「私」と妹の還来(もどろき)神社への小さな旅。帰って一週間死んだ父からのメールが来ていた。<夢のなかで、懐かしい死者に会うような>孤独。<それでも、ひとは、夜が明けると、たった一人に戻って、目を覚まさなくちゃならない。> 「イカロスの森」樺太引き揚げ者から聞いた『死の黒い湖』を尋ねる北サハリン、オハへの旅。もてなしを受けた現地家族の女主人から贈られた別れの言葉。よく亡き両親から聞かされたという<遠来の客人が2020/12/24
ひろ
1
愛も、人生も、旅も、なかなかうまくいかないけど、そもそもそういう心許ないものなのかも、とか思う。2023/03/14
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