ちくま新書<br> 駒形丸事件 ──インド太平洋世界とイギリス帝国

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ちくま新書
駒形丸事件 ──インド太平洋世界とイギリス帝国

  • ISBN:9784480073594

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内容説明

1914年にカナダ・バンクーバーで起きた「駒形丸事件」。インド人移民の上陸が拒否され、多数の死者をコルカタで出した悲劇である。日本ではほとんど知られていない「駒形丸事件」であるが、この小さな事件を通して歴史を眺めると、ミクロな地域史からグローバルな世界史までを総合的に展望できる。移民史・政治史・経済史を融合させることで、インド太平洋からの新しい世界史像を提示するグローバルヒストリーの画期的な成果。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばたやん@かみがた

94
グローバルヒストリーの醍醐味を余す所なく発揮した傑作。ただ、タイトルにもなった駒形丸事件は日本でほとんど知られていません。1914年、WW1勃発直前の時期にイギリス領カナダを目指すインド移民を乗せた日本船駒形丸が、カナダ当局にバンクーバーで上陸を拒まれインドへ戻らざるを得なかったことが事件の概要です。乗客たちは故国に戻ってから今度はインド当局の強い警戒を受け警官隊との衝突で20名の死者を出す悲運に見舞われます。この2つの大陸と2つの大洋を股に掛けた(インド太平洋世界)、(1/7)2021/05/24

ステビア

20
ローカル/ナショナル/リージョナル/グローバルが多層的に絡まるグローバルヒストリー。2022/02/28

MUNEKAZ

16
WWⅠ初頭のカナダで起きた、インド系移民を乗せる日本船への入港拒否事件を紹介した一冊。インドとカナダ、どちらも当時は大英帝国に属しており、そこに暮らす人々は「帝国臣民」として帝国内の移動の自由が保障されていた。だが北米でのアジア系に対する排斥運動の激化と、インド独立運動への警戒から、悲劇的な事件が発生する。現代のグローバル問題を彷彿とさせる、「大英帝国内での」移民問題は興味深いの一言。またアジアにおける列強、イギリスの同盟国として日本の影が大きいのも面白い(因みに駒形丸は日本の租借地・大連の船籍)。2021/01/29

まふ

9
1914年に日本の貨客船駒形丸(総トン数3085トン)をチャーターしたインドのシク教徒の実業家グルディット・シンが約400名のシク教徒を中心とするカナダへの移民希望者を乗せて香港から日本を経由してバンクーバーに入港したところ「アジア系」移民の上陸を許可されず、2か月間に亘り閉じ込められてそのまま返されインドのカルカッタ(コルカタ)に到着したがここでも悶着を起こして20名余が亡くなった事件をグローバル・ヒストリー研究(ローカル・ナショナル・リージョナル・グローバル)手法で解明しようとする意欲的な研究である。2021/08/14

鈴木貴博

4
1914年、駒形丸に乗船し英領インドから英連邦自治領カナダへ移民しようとした300人余りが、バンクーバーで一部を除き上陸を拒否されインドに追い返され、また、帰還先のバッジ・バッジで発砲事件により20名余りが死亡した。この事件を見ていくことでインド・カナダだけに留まらず、大英帝国全体、アジア太平洋、そして世界史全体の動きが見えてくる。新たな事実を知り、新たな見方を獲得でき、大変面白かった。駒形丸事件はカナダ通史の本で知り、バンクーバーが現場ということもあり気になっていたので個人的にはタイミングのいい出版。2021/02/21

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