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内容説明
本書では生物多様性を、「生物資源」と、人類の「生存基盤」という二つのの価値と、さらにその両方を統合したアプローチである「地球公共財」と位置づけて考察していく。大航海時代以降の植民地・帝国主義時代からグローバル企業などによる現代のバイオテクノロジーの時代までの生物資源をめぐる先進国・途上国という構図、自然保護を目的とした国立公園で生じる軋轢や地域社会との関係。人類と自然との相利共生関係。そして近年世界的な標語となったSDGsを見据え、将来世代に引き継ぐべき「三つの共生」を提起する一書である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
107
生物多様性保全や地球環境保護は、遅々として進まないと思って居ましたが、確実に一歩を踏み進めていますね。様々な思惑が網の目状に絡んでいる為に、そしてそれを解く端的な答はない為に、SDGsを掲げて進めるんですね。環境保護と関係無さそうな事柄も含まれるのは、この利害関係も考慮の内に入れなければならないと言う事ですね。国家や起業はこれらを勘案し、個人はそれを評価し、商品やサービスを受けるのが良いのかと。個々が更にもっと深く学び、考え続けなけるべき問題。個人的には、家族とブレストして考えよう。NIMBYムズイ。2021/02/08
Toshi
23
最近生物多様性に関する本を集中して読んでいる。本書は生物多様性を南北格差、地域、生態系サービスの観点から、歴史、事例を語り、現在の課題を浮き彫りにする。最後に著者は、「地域・社会を超えた共生」、「自然との相利共生」、「未来との共生」を提唱している。著者は、日本で長くこのテーマに携わってきただけあって、歴史的、地理的にも俯瞰的で、とても読みやすい一冊となっている。2024/01/27
ゆう
12
最近は生物多様性の意味が浸透してきているように思えるので真新しくは感じないものの(とはいえ2021年出版)、一からパリ協定までの流れを追い、世界や日本国内の具体事例を説明しており、大変わかりやすい。親切な書き方(何章何節で前述、など)がされていて助かるが、欲を言えば索引もほしかった。 生物資源をめぐる南北問題という俯瞰的な視座を得られた。留学生がパーム油のプランテーションについての研究をしていたとき、パーム油がなんなのかさえ知らなかった私たちの罪深さよ。 関連書籍を読み進めたくなった。2024/04/14
naohumi
5
持続可能な社会の仕組みについての問いが立つ本だった。 人間だけが生物の上に君臨するのではなく、共生している事を忘れがちな我々現代人にとって「生物多様性を問いなおす」事は宿題になるように思う。 歴史から見ても、紛争、発展、独善な思想などによって、結果的に人間は自分達の首を絞める結果になっていないだろうか。 新型コロナウイルスのパンデミック、不安定で先の見えない世界を目の当たりにした私たちにこそ、考えるべき多くの課題が詰め込まれていつように感じた。2021/11/13
駒場
3
入門書レベルの易しさで新書として適切で出版年も2021年と新しい。生物多様性をめぐる先進国と新興国の対立の流れや、COPなどの世界的な会議、現実の取り組み、そもそもなぜ生物多様性が必要なのか?が網羅的に書かれている。生物多様性ってワードなんか流行ってるから手っ取り早く概要知りたい人にオススメしたい2022/05/27