内容説明
九重高校で黒マスク姿の男による合宿費強奪事件が起きた。犯人のあまりの足の速さに、誰も追いつけない。できたばかりの探偵部に所属する浩介たち三人は解決のため独自に調査を開始するが、二度目の強奪の後に、事態は殺人事件へと発展してしまう――。夏の避暑地での不可解な連続殺人、ミステリ小説として書かれた殺人事件が実際の事件と重なっていることに気づいた作家の推理、大学病院での転落死の真相と、夜空に煌めく星のごとき全四編。学園ミステリにクローズド・サークル、二転三転するフーダニットとハウダニット。鮎川哲也賞作家が贈る、純度百パーセントのミステリ短編集。【収録作】黒いアキレス/夏の北斗七星/谷間のカシオペア/病院の人魚姫/あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
90
初読み作家さん。連作ではなく独立した短編集が4作。事件を解く者も作品ごとに変わるので、登場人物たちが誰も怪しく思えたり、時に刑事までが怪しく(笑)真犯人と動機は最後に判るという仕組み。ただ、難を言えば作品全体が何だか読みにくい。最後の「病院の人魚姫」が一番分かり易かったかも。学園ミステリ、クローズドサークル、屋上密室殺人、いろんなシチュエーションで起こる殺人事件。この作家さん、もう少し端的に書いていただけるとものすごく面白い作品になるのかも。なんてエラそうに言ってしまいすみません。2022/01/14
坂城 弥生
49
推理ものの短編集。どれも違った形でトリックを用いた犯行。そして後味の悪い終わり方のものも。2021/03/19
koma-inu
40
最近は珍しい、キャラも趣向もバラバラな4短編集。表紙と題名からは日時の謎ぽい本に見えますが、クローズドや密室など、本格ミステリ。あとがきにあるように、犯人とトリックに焦点があるように見えます。文章がやや読みにくいのと、キャラ設定が弱いのが、難点。イチオシは「病院の人魚姫」屋上から飛び降り自殺した看護師。監視カメラ下には人が写っていないが、ある理由から他殺を疑い始める。意外な犯人だけど、流石に誰か気づくよ!トリックに無理あり過ぎ!というバカミス。なので好きです。2024/11/20
geshi
30
『黒いアキレス』トリックの効果のために視点を入れ替えなきゃいけないのは分かるけど書き方が上手くない。『夏の北斗七星』フェアと仕掛けのジレンマ。偽の解決がいかにも作り物めいてるし真犯人への手掛かりのプラスαも無い。『谷間のカシオペア』メタミステリである必然性が作中作の題名ともガッツリ繋がっている。オチはそこでいいのか?『病院の人形姫』このトリックはいくらなんでも無理あるだろ。自殺か殺人かで疑惑が定まらないストーリー展開は面白いけど手掛かりがあからさま。2021/06/11
み
22
ジャケ読みした作品、初読みの作家さん。う〜ん、ちと読みにくく…、連作なら読みやすかったような。ちと残念なり。2021/08/08