内容説明
傷付き、傷付けながら自分を取り戻す少女の姿が話題をさらった「さようならアルルカン」、一人の少女失踪から明らかになる孤独と傷、そして再生を描いた衝撃の文庫デビュー作「白い少女たち」。そして、若い教師を愛する女子高生の心を繊細なタッチで描いた異色作「あなたへの挽歌」、あるフラストレーションを抱えた彼女の秘密「おしゃべり」、悲しみ、苦しみ……10代の悩みを情感豊かに描いた「悲しみ・つづれ織り」、女の子同士のへんてこな関係を軽快につづったユニークな快作「私と彼女」を収録。伝説の少女小説家、氷室冴子の原点がここにある。
目次
さようならアルルカン
あなたへの挽歌
おしゃべり
悲しみ・つづれ織り
私と彼女
白い少女たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
65
氷室冴子さんの初期作品の短編集。言葉使いなどはさすがに時代の流れを感じてしまう。それでも少女たちの瑞々しい感性はいつの時代も変わらない。少女ならではの純粋さ、気高さ。その若さが美しく、悲しい。「白い少女たち」の重苦しい雰囲気に引き込まれた。まさに少女小説。ああ、懐かしい。2021/01/30
azukin2
40
町田そのこさんが作家を目指すこととなった故氷室冴子さんに興味を持ち初読み。言い回しこそ古い感じがしたけど読んでいるうちにだんだん引き込まれていく過程は町田さんと同じだった。『さようならアルルカン』は自分も中学生の頃ひとつ上の彼女の図書カードをたどって読みあさってたのを思い出した(笑)。中編の『白い少女たち』は寄宿舎を舞台に少女たちの心に抱える問題と葛藤を書き今じゃちょっと考えられないような友情があったりだけど当時21歳の氷室さんが書いたとはさすがに驚いた。短編の『おしゃべり』は上手い!2021/05/28
ぐうぐう
38
初期の「コバルト」を牽引した氷室冴子のデビューは、その前史である「小説ジュニア」においてだ。『クララ白書』でブレイクするまでの助走期間かもしれないが、本人曰く「文学少女くずれ」だった彼女にとって、「小説ジュニア」時代は当時にも、そして振り返ればなおのこと貴重な時期だったように思う。早熟な少女達の凛とした佇まいが印象的なデビュー作「さようならアルルカン」は、文学を(良い意味で)引きずりながらも、それでいて「コバルト」前夜の胎動を感じさせもする、実に絶妙な小説だ。(つづく)2020/12/30
タカギ
33
幻の短編初の書籍化、とのこと。表題作の2作品は文庫になっていて、『白い少女たち』は多分、探せばある。『さようならアルルカン』は装画がとても良くて、ほしかったけど手に入らなかった。全編、〈少女〉たちの話。全然古びていなくて、『さようならアルルカン』に出てくる偏見で凝り固まった教師の言葉は、現在の教師たちも反面教師として学ぶために読んでほしいと思った。もっと出してください、氷室センセの本…。2021/04/22
chiaki
27
収録作全部いい!ちょっと時代を感じる部分はあるけど、それもまた味わい深い。『さようならアルルカン』、めちゃくちゃよかった!「人は変わる」それは成長なのかそれとも自己抹消なのか。ラストも余韻たっぷり!再読したい。教師への憧れと失望を描く『あなたへの挽歌』も昭和の匂いがぷんぷんして好み。失踪した同級生の行方を探す『白い少女たち』。碧に向けた倫子の言葉が、今の私には刺さりすぎました!少女時代のなんて気高くて繊細で残酷で純粋で儚くて危うくてもどかしくて!!息苦しいほどに美しい少女小説!2024/12/23
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