内容説明
新世代の書き手による、ウィトゲンシュタイン哲学への最上の入門書が誕生!
哲学史に決定的なインパクトを残した独創的な哲学者として、また、奇行の多い天才の典型として、比類なき評価を得ている孤高の人物について、その波瀾に富んだ生涯と独特の思索の全体像をつかむ、初学者向けの理想的な1冊。
一般には転向とされる「前期→後期」の変遷も、「像(Bild)」という概念に沿って原典を読み解くことで統一的に理解し、ウィトゲンシュタインのラディカルな思考がもつ本質的な可能性を見出す。手稿・手記の精密な翻訳を手掛けた経験のうえに、身近で秀逸な比喩によって難解な原文のエッセンスを的確に伝える懇切丁寧な解説を実現した。21世紀のウィトゲンシュタイン入門書はこれで決まり!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
39
前期と後期にある共通した問題意識と、そこにある断絶をウィトゲンシュタインの他者に対する分かり合えなさのエピソードを重ねながら上手く流れをつくっています。金持ちだったのに全てを寄付して終生貧困と共にあったこと。哲学者を廃業して教師になるが、生徒を殴り出奔して帰らなかったこと。ウィーン学団からは『論考』の意図を真逆に受け取られて崇め奉られたこと。審査する側のラッセルとムーアに「心配しなくていい、これをあなた方が理解できないことは分かっている」と言ったこと。彼が哲学をせざるを得なかった理由が描かれています。2021/01/25
特盛
36
評価5/5。読んで涙しそうになった。本書はヴィトゲンシュタインの思想を論考の前期から探求の後期、晩年まで、彼の不器用で苦悩に満ちた人生と共に語る。永遠の相の下で世界を見渡す、という悟りの様な世界観の前期。アプリオリ、全体、時間・因果関係のない論理空間という特殊な砦で嵐と戦う。悟りは魔境なのか。苦悩は続く。後期には天上世界から下りる。単一の像に幻惑され本質化して語ってしまう誘惑を警告する。言葉は生活の流れの中で意味をなし、本質なんて無いかもしれない。アスペクトの探求を続け世界を新しく照らし続ける。止まるな。2024/05/16
踊る猫
30
ウィトゲンシュタインの人生を一冊の中で語り尽くす。この、なかなか難しい作業と取り組み本書は一冊の入門書として結実した。前期と後期を、さながら哲学を終わらせる行為の産物の『論理哲学論考』とその哲学を新たに蘇生させる『哲学探究』を産んだ時期として整理し、一度は世界を超越したウィトゲンシュタインが再び世界に降り立った過程として語る。一度は認識の存在(柄谷行人なら『ベルリン・天使の詩』を引いて「天使」と呼んだかもしれない)だった彼が人間となるまでとも言える。そして、彼は哲学の教師として私たちを導く存在でもあったと2022/06/19
シッダ@涅槃
19
ウィトゲンシュタインは62歳で亡くなったが、この人に300歳くらいの健康寿命を与えて、その哲学的変遷を見てみたいという妄想が抑えられない。いわゆる後期ウィトゲンシュタインも梯子を放り投げるようにうっちゃって、また新しい哲学を始めるかもしれない。現実、80歳くらいまで生き延びてみて欲しかった。◆個人的に前期の方がスリリングで夢中に読んだ。しかし、その“スリル”も批判の俎上に乗せられて、300ページにその引用がある。愉快でないときが、最も重要なことを考えてるときなのだ。2021/12/16
はとむぎ
17
正しく物事を捉えたいともがいた哲学者 ウィトゲンシュタイン。一般化は間違う。常に可能性を残せということだろうか。よく一生かけて考えたなぁ。言語ゲームって言葉がしっくりきました。2024/01/20
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