絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

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絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

  • ISBN:9784622089636

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内容説明

白人中年アメリカ人を蝕む、薬物過剰摂取、アルコール中毒、自殺による「絶望死」。その原因をノーベル経済学賞受賞者が探る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

266
都会では自殺する若者が増えている、と歌われたのは半世紀ほど前だが、現代のアメリカでは中年の白人に自殺者が増えているらしい。それも都会ではなく田舎で、低学歴の白人の、自殺だけでなくアルコールや薬物による「絶望死」が顕著に増加している。一体何が起きているのか。そしてそれはなぜ起き、私たちはどうすればいいのか。もっとも深刻なのは医療だ。賃金は低下し、職を失うことで増した痛みを緩和するため、薬に頼る。製薬会社は政治に手を回し、薬を売ることで富を獲る。レントシーキング、逆ロビンフッド効果が加速し、やがては絶望死に⇒2021/04/18

ケイ

131
発行は2019年のコロナ禍前。作者の意図するポイントと違う視点で読んでしまう。本書の中心は、1900年以降、非ヒスパニック系の白人中年男性が非学士である場合、絶望死(薬物過剰、アルコール過剰、自殺)の割合が明らかに高いということ。それは他の先進国と比べても顕著であり、様々なグラフや表を用いて示されるのだが、最も気になったのは、1900年までは死亡の第一原因は感染症であったということ。それが徐々に取り除かれていったわけだ。だから、100年前のスペイン風邪はコロナほど記憶に残らなかったのではないかと思った2021/04/01

パトラッシュ

86
アメリカで白人中産階級が崩壊しているとは数十年前から聞いていたが、もはや破綻寸前の状況にあるのを数字で論証する。学歴、人種、労働などあらゆる部門で格差が広がり、アメリカンドリームは消え従来あったセーフティーネットも破壊されてしまった。暗い未来しか予想できず自殺や薬物、アルコール中毒などで「絶望死」を選ぶ人が増えている有様は、世界最大の資本主義国家が抱える致命的欠陥を露呈している。著者らは経済学者として貧困救済や医療制度改善などを提案するが、ここまで来ると一度すべての制度を破壊する革命が必要と思ってしまう。2021/05/04

ヘラジカ

76
近年急増する絶望死(自殺、アルコールや薬物の過剰摂取による死)から見る格差社会アメリカ。この本では特に四年制大学を出ていない低学歴層の中年白人男性を中心に、あらゆるデータから資本主義の欠陥を炙り出している。大部分が統計を基にして解説されているため退屈な部分も多いが、当然のように今の日本に当てはまることも多く真剣に読まざるを得ない書であった。医療制度や人種問題、オピオイド危機など固有の問題もあるが「アメリカは単に、世界中で根付きつつあり、これからもさらに広まりそうな、より広範な悲劇の先駆者に過ぎない」のだ。2021/01/23

キムチ27

66
このボリュームでこの展開。今年の「凄い本」up。読み砕くのに疲弊・・元来評論家が嫌いな私、自分もこれを読むだけで日本の危機がそこにある感が強まりやるせなさ 暗澹。ペア執筆ながら一人はノーベル経済学賞受賞の人物。今世紀の黄昏と薄暮が見えるよう。米トランプ政権が浮き彫りにしたこの国の病巣・・絶望死という言葉。「学士号を持たぬ集団」がその大半を占めるという分析。右肩上がりの白人死亡率、要因best3-自殺・薬物過剰摂取・アルコール性肝炎。出生コホートに拠る分析が打ち出す数字が衝撃。僅か250年前に産声を上げた米2021/08/19

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