内容説明
「普通の人が、ある日突然、加害者にも被害者にもなるんです」――平凡な男がマルチ商法によって家族を失うまでをリアルに描き、noteの記事が大反響のノンフィクションを書籍化。小さなほころびからもろくも崩れ去った日常と、「マインドコントロールされた夫」「母親が信者」「100個の夢を持つ彼氏」など多様な被害者像から社会の現状を描く。身近におこりうるマルチ商法問題のほんとうの闇に迫る一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kou
57
ホラー映画より、よっぽど怖い内容だった。読みながら、「これが自身だったら」、「知人達だったら」、「家族だったら」と頭をよぎると、動悸が止まらなくなった。本書でも書かれていたが、これは、「個人の問題」ではなく「社会の問題」として取り組む必要があると思う。もしマルチ商法にハマりそうな人がいたら、この本と巡り会い、踏みとどまってくれることを願わずにはいられない。2021/04/10
mincharos
54
いやーー面白かったし、怖かった!!人生で一度もマルチの勧誘にあったことがない人の方が少ないんじゃないかな?私もそうだったけど、その世界を全く知らない人ほど「こんな世界もあるんだ!」ってなりがちなので、こうやって辛い経験をがんばって書籍化してくれたことに感謝。ほんと洗脳なんだよ、人が変わっちゃうんだよ。私が勧誘されて、ハマりかけた時期のことをリアルに思い出して、すごく辛い気持ちにもなった。もう15年くらい前のことだし、私の場合は2週間程度で目が覚めたけど。「金持ち父さん貧乏父さん」も読まされたなぁ・・・2021/07/05
おかむら
47
アムウェ○が原因で離婚した著者が、妻がハマっていった経緯を綴るノンフィクション。私も昔々、実家にあそこの鍋やら洗剤やらがあるのを見つけて(姉が友人から買っていたらしい)、やべーぞおい、と思ったことがあったけど(その後買わなくなってたヨカッタ)、著者の妻ののめり込み様は恐ろしかったわ。娘が可哀想だったわ。知り合いから「スゴイ人に会わせたい」と言われたら要注意。そしてあちら側のディストリビューターの成功譚みたいな本も読んでみたくなりました。2021/07/31
かわうそ
29
★★★★★「もともと愛嬌があって、いつも笑顔を絶やさない妻は、マルチ商法をはじめてから目つきや顔つきがキツくなっていった。それも、明確なある日を境にまったく別人のような顔つきになった。それはは家の近くの商店街でイベントがあった日のことだ。」人を見た目で判断するなとは言うけども、やはり、顔つき目つきというもので人の性格というのは大体分かってしまうのは事実だ。「その人の存在の根幹をなすさまざまな思考の様式が、少しずつマルチ商法の理屈に置き換割って行くのである。」マインドコントロールそのもの。2021/09/21
ぺん
23
知り合いに勧められたサプリの会社がマルチ商法っぽかった。でも、マルチ商法ってどういう問題があるんだっけ?すると、本書が週刊文春で紹介されていたので手に取る。まさに自分の知りたいことが書いてある本だった。私のようなぬるい意識の人は必読。おかげで知り合いにどう向き合えばいいのか悩み中。しっかりした内容なので、なんで作者名をハンドルネームにしたんだろう?真面目な?名前だったらもっと手に取ってもらえそうなのに。と思っていたが、最後まで読んで「ズュータン」のままにした作者の思いが理解できた。2021/05/05