内容説明
アフリカの砂漠に展開する青春の野望――親友でありながら、前島は能楽に伝統美を確かめ、沢木はアフリカ砂漠改造工事の技師として地球の未来をみつめる、対照的な生き方を選んだ。その二人を同時に愛して、苦悩する加代子。彼らにしのび寄る悲劇的結末は、また新しい時代への予兆でもあった……。壮大な着想で近未来を見通し、総理府主催「二十一世紀の日本」懸賞に当選した野心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
231
西村京太郎さんの第4作は総理府主催の懸賞小説でテーマ「二十一世紀の日本」に応募して内閣総理大臣賞の賞金500万円を獲得した珍しい非ミステリーの普通小説です。大学時代の親友同士、米国人の母を持つ前島は父の職業・能楽を愛し、沢木は日本らしさを嫌悪してアフリカ砂漠改造工事の技師となる。その二人を同時に愛した加代子は苦悩し遂に決断を迫られる。本書は西村作品としては稀な本気度100%の恋愛小説で、やはり結末はミステリ作家らしく普通ではない鬼気迫る内容でしたね。本書に登場するアラブ人警部の心遣いに強く感動しましたね。2023/09/30
夢追人009
123
西村氏の第4作で総理府主催「二十一世紀の日本」懸賞に当選した最優秀作です。恋愛小説の結末は悲しいですが、本書は珍しい非ミステリで謎に対する答が明確ではなく読み手の感性に判断を委ねる曖昧な書き方がされている所が滅多に読めない斬新な手法だと思いますし、結論を押し付けない自由さを感じるこんなラストも偶にはいいのではと思いましたね。それでもやはり私としては前島が信じる日本的な何かを感じた沢木が西洋の合理主義一色に染まらずに己の中にもある「日本」を認めた上でどうか恥じる事なく今後の人生を歩んで欲しいと思うのですね。2018/03/25
もえぞう
4
なかなか面白かったです。しかし、加代子の選択が唐突すぎて、なぜ?と思ってしまいました。それと終わり方に少々不満が。それ以外はなかなか読み応えがありました。2022/05/26
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
1
昭和61年 1月15日 初版2015/02/21