内容説明
僕の前に路(ルート)はある! 越境者・古川日出男、初の短編集。いっぱいの現実、いっぱいのレプリカ
――知的早熟児たちが集った夏期講習キャンプに現れた「狙撃手」。僕たちは次なるスナイプの現場を押さえるべく監視を始めた……という「メロウ」など、現実とレプリカのあわいに立ち上がる圧倒的なストーリー世界が心を捉えて離さない。あらゆるジャンルを超えて疾走する作家がつづった唯一の「ストレートな」短篇集。
◎「これは、僕としては初めてのストレートな短編集だ。ある意味で、僕はデビュー以来、ずっと同じ小説ばかりを書いている。それが誠実なことかどうかは、判断するのは僕ではないけれど。この本はもちろん、読者に読まれるために書いた。だから、あなたたちに捧げる。」<古川日出夫>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
45
あぁ、まさに古川日出男だな、という短編集。たたみ込むような語り口、突然始まるウソ話を現実におりこんでいく展開。読了直後は???となりますが、後からジワジワ良い感じです。著者の作品は、あわない読者は一定数いると思いますが、ハマれば再読したくなるような中毒性があります。幸福な家庭のただならぬ出来事「お前のことは忘れていないよバッハ」、幽体離脱した高校生が訪れた三人のクラスメート「ストリートライター、ストリートダンサー、ストリートファイター」、夏期講習キャンプ中の少年たちの戦闘「メロウ」がベストスリーです。2018/08/16
眠る山猫屋
41
短編集と括っていいのか?どれを取っても、良質な物語の卵。否、長編に孵化しないからいいのか? いずれにせよ、煌めく物語たちが詰まってます。 例えば『メロウ』。天才児たちの合宿に現れた狙撃者の影。子ども達は狙撃された先生の敵討ちの為に行動を開始する…。なぜ狙撃者が!?という辺りの説明はない。ないけれど、忍び寄る感動の鼓動に揺さぶられちゃいます。個人的にはハムスターの冒険物語が気に入ってしまった。切なくて、いい。 2011/05/25
さっとる◎
40
昔そこは海だった。まるきりの海。こんな土地はなかった。張りぼてだらけインチキレプリカのこの世界に古川日出男が爆弾を投下する。100%の物語を。一軒家を世界に変えて冒険に出る。傷ついても闘える。音楽とダンスと物語が武器だ。人生は闘いだ。封鎖され閉ざされたレプリカの世界で、出られなくても物語を武器にサヴァイブする。橋を制覇して、バケーション(V)とトラベル(T)を等号で結んで。歌える鳥の末裔が、欠けた音楽を奏でて。明日にでも死んでしまうみたいに猛烈に速い僕たちが、解き放たれて。最高にクール、大好きだ日出男。2016/11/24
里馬
17
素晴らしい作家の傑作とは新作だ、と何処かで誰かが書いていた。まだまだ古川日出男の作品は読み始めた所だが、大当たりばかりで怖い。少しは彼の外れも読みたい。彼が映画『ミザリー』の様になったら、看護師役は僕かも知れません。。。。2010/07/17
秋良
12
全然音楽の話じゃないのに、ドラッグもセックスも無いのに、なぜかこの人の作品はロックだと思う。何でだろ?そのロックな感じと十代のひりひりする感じがマッチする「バッハ」と「ストーリー〜」がよかった。あとは地元なので「カノン」!2017/10/30
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