内容説明
岡山から上京して東京の大学に通うぼく・武井武留は、母親を亡くした喪失感のためか、無嗅覚症になっていた。東大で作物の研究をしている親友・六川が、ぼくのために「臭い」の研究もしてくれるが研究所で事故死する。悲嘆にくれていると六川の恋人だったというマリノレイコが現れ、六川からぼく宛の荷物だと言ってシャーレを持ってきてくれる。マリノレイコによるとチーズの匂いがするというシャーベット状の中身に触ったときからぼくの身に異変が起こり始める。最初は犬が騒ぎ出し、次にはぼくの臭いを嗅いだ人がみんな嘔吐。住んでいるマンションに警察が調べに来たり、ついには東京都内を巻き込む異臭騒ぎにまでなってしまう。解決の糸口が見つからないまま、こんどは謎の組織に狙われることになり、なぜか味方になってくれた天才少年たちやマリノレイコといっしょの逃亡劇に!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
61
友人が残したシャーレを触ったことで、都内全域を巻き込む異臭騒ぎとなる体臭を放ち始める青年のドタバタ劇。コメディ調で始まるけど、途中から天才ハッカーや国家規模の暗躍組織が登場して、福島原発でのメルトダウン危機まで勃発するエンタメ小説になっている。でも吐き気を誘発するほどの青年の体臭がずっと描写されるんだけど、これって体の外にまで漏れ出してしまう青年の青臭い自意識の暗喩なんだと思う。僕も周りがひいちゃうほど香る自意識を抱えていた青年だったという自覚がある。えーと、つまりよくできた青春小説になってるってことです2024/01/24
mushroom
14
初読みの作家さん。これは面白かった。無臭覚症なった主人公武井武留。ひょんな事から自分の体から異臭が放たれる。その規模は次第に拡大していって東京都内から隣接する埼玉、千葉まで拡散するはめになって…とそこから更に展開していきます。序盤こそゆっくりですが中盤以降は目が離せません。終盤はのめり込んで読みました。ナルヒトもいいけど特にマキジャクが気に入ったキャラです。2025/07/18
緋色
13
とあるオススメから。文体は平易で読みやすい。自分は無嗅覚で匂いが分からないけれど、とてつもなく臭くて日本中が大混乱になる話。フィクション感薄めの序盤は面白くてスイスイ読めたけれど、その後あの2人が出てきて以降ちょっと食指がうごかなかったかなぁ(私はフィクション感強めなのが得意ではない)。それから「物語の構成には関係ないけれど面白くするために下ネタ要素を入れてくるもの」が小説に限らず不得意なので、うーんって思ってしまった。(一部関係するやつはあったかなとは思うけれど…)2024/12/15
Drivin' a blue car
11
なんともハチャメチャな話(笑)当初は、悪臭を嗅ぐたびに出てくる人がみんなゲーゲー吐くのに辟易としたが、不思議なもんで途中からはゲーゲーする人が出てくることが面白くなってきて(´・_・`)。しかし解説にもあるとおり、物語の設定が大変面白く作り込まれているので、引き込まれるように一気読みだった。武井くんの体が、一日も早く回復することを望みます。2024/01/31
はぐぼんぼん
8
笑える話と聞き、読んでみた初読みの作家さん。 うーーん😑 なんかがちゃがちゃした話で途中で寝てしまってページがなかなかすすまない。 私には合わなかったみたい。残念。2024/07/24