講談社学術文庫<br> 〈名奉行〉の力量 江戸世相史話

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講談社学術文庫
〈名奉行〉の力量 江戸世相史話

  • 著者名:藤田覚【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2021/01発売)
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  • ISBN:9784065222362

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内容説明

時代劇でおなじみの名奉行や悪代官の意外な実像から、驚くほど便利な江戸の暮らしまで、研究者ならではの視点で江戸の風もあざやかに切り取った短編集。
桜吹雪で知られる「遠山の金さん」の父は、とある試験を転機に異例の大出世を遂げた名官吏だった!? 
「おれがわるかつた」、「ゆるせゆるせ」とざっくばらんに詫びる「暴れん坊将軍」吉宗の肉声に、文字通り女房を「借金のカタ」に差し出してしまった旗本、年利一二〇〇%の超高金利金融「烏金」利用者の実態に、宛名に記された「殿」と「様」の格付けをめぐるひと悶着……。
読めばもっと江戸が好きになる。第一人者の篋底から取り出された珠玉の掌編の数々!
(原本:『大江戸世相夜話』中公新書、2003年)

【本書の内容】
はしがき

  遠山金四郎の入墨
遠山金四郎の入墨/遠山金四郎父子/江戸の受験参考書/名奉行の「条件」/官職名の由来/銭形平次と目明/親の歳を間違える金四郎

  お代官様――悪の代名詞
将軍吉宗の肉声/遊芸を許す田沼意次/お代官様――悪の代名詞/秘薬「熊胆」の値段/「謙譲の美徳」の裏側
二十二時間・二十三日間・三年間/白いカラスは吉兆か/殿と様はどちらが偉いか

  大御所の犯罪
大御所の犯罪/無 尽/談合体質の根深さ/拾った金は誰のものか/象をめぐる暗闘/国民の生命の重み/女房を借金のカタに置いても

  女髪結い繁盛記
便利すぎて困る/女髪結い繁盛記/江戸の贈答事情/江戸の高利貸し/証文の怖さ または、江戸の女性はしたたか/地獄の沙汰も金次第

  放蕩息子の矯正
読み書き算盤/放蕩息子の矯正/「うろたえる」老人たち/天明七年のポスター/上流女性をどう呼ぶか

初出一覧
あとがき
学術文庫版あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

68
江戸時代史研究の泰斗が、真面目な論文や専門書には載せられない意外なトリビアを集めた本。どこから読んでも面白いが、代官や奉行など幕府を支える官僚組織について、ドラマや映画などで見られる常識とは全く違う実態には呆れてしまう話だらけだ。また大名の官位昇進を巡り贈収賄やおねだりがあったり、無尽や借金など金絡みの士風退廃が露呈するなど時代小説のネタにもなる話も多い。人を呼ぶ際の敬称や贈答事情などは、21世紀の今日にもつながる。こうした細かい話から、わたしたちは江戸期の延長にある未来に生きているのだと納得させられる。2021/03/28

nagoyan

15
優。中公新書で刊行された「大江戸世相夜話」に著者の近年の仕事関係から3編を加えて改題したものとある。幕末政治史、朝幕関係の研究者として高名な著者が、平素、研究のために膨大な量の史料を読む中で拾った、江戸時代のあれこれをよもやま話風に書き留めたもの。封建時代であっても、現代とも通じるような人間の生活と人情がいきいきと描かれる。それにしても、本書で言及されるような落語や「時代劇」ドラマも、今や、目にすることも少なくなった。江戸の風情はますます遠くなっていく。若い人に「おぬしも悪よのう」と言っても通じない。2021/04/28

くさてる

15
捕物帖を色々読んでいたので、その関係から手に取った一冊。これがなかなか面白かったです。あの遠山金四郎や大岡越前などの意外なエピソードやトリビアを通じて、江戸時代の世相や役所の仕組みが分かりやすく語られています。文章の背景に深い教養があるけれど、無味乾燥感はない。その近辺の文化に興味がある人、時代もの好きのひとにおすすめです。2021/02/28

あんどうれおん

8
著者みずから「まとまった論文にはできない」という内容により構成された、江戸社会こぼれ話。出版社のPR誌に連載された掌編をまとめた本で、気軽かつ気楽に読めます。それでいて、豊富な知識と膨大な典拠にもとづいた記述に圧倒される本でもあります。参考文献の一覧がないことは残念ですが、本文を何度か読み返しながら気になる部分を掘り下げたいと考えています。そのようなリピートが苦にならない良書です。2021/11/06

アメヲトコ

8
21年1月刊。もとは98~00年に『本郷』に連載されたエッセイで、03年に書き下ろしを加えて中公新書として出て、今年改めて学術文庫から再刊されたもの。近世後期の日本政治史研究者である筆者が、膨大な史料を読む中で知った、面白いけれども論文にするほどでもないさまざまな話題を綴ったこぼれ話的な一冊です。気楽に楽しく読めつつも、近世社会のありようが生き生きと伝わるのはさすが。個人的には「親の歳を間違える金四郎」「「謙譲の美徳」の裏側」が、史料の読み方という点でとくに興味をひかれました。2021/03/28

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