内容説明
群像劇で知られる映画監督ロバート・アルトマン。その実験的な表現手法は、いつも「即興」の一語によって受容されてきた。それは真実か? 気づかれなかった古典的ハリウッド映画を覆す巧妙な仕掛けとは? 本書は、1960年代-70年代ニュー・シネマ期のアルトマン作品群に焦点を当て、ハリウッドの内側からなされた芸術的革新を見抜く。
目次
はじめに
図版一覧
序 すべては即興なのか?
1 繰り返されるクリシェ
2 ニュー・シネマ、ニュー・ハリウッド、あるいはニュー・ハリウッドという時代
3 ヒッチコックやウェルズから「何ひとつ学んでこなかった」?
4 映像作家としてのアルトマンの軌跡
中心性←→「遍」・中心性
第1章 オーヴァーラッピング・ダイアローグからオーヴァーラッピング・ナラティヴへ
──『M*A*S*H マッシュ』『カリフォルニア・スプリット』
『ナッシュビル』
1 『ナッシュビル』は「つながり」のナラティヴか?
2 『グランド・ホテル』と『大空港』、そして『ナッシュビル』
3 ニュー・ハリウッドにおける音の冒険
4 音声的中心の多元化
5 重なる会話から重なる物語へ
6 物語世界の「遍」中心化
7 共通の目的(地)の消滅
8 終わらないオーヴァーラッピング・ナラティヴ
明瞭性←→不・明瞭性
第2章 モチヴェーションの曖昧な主人公
──『ビッグ・アメリカン』『ボウイ&キーチ』『ギャンブラー』
『ロング・グッドバイ』『カリフォルニア・スプリット』
1 目的に向かって突き進まないように見えるのはなぜか?
2 距離をおくカメラ
3 ディープ・フォーカス vs シャロウ・フォーカス
4 ポスト・フラッシングの効果
5 マッチしないアイライン
6 『断絶』の主人公との相違
7 それは負の側面ではない
深奥性←→反・深奥性
第3章 ズーム・インが無効にする奥行きという錯覚
──『ギャンブラー』
1 「ズームは四文字語である」?
2 ドリー・ショットとズーム・ショット
3 約束事としての「イン」
4 『ギャンブラー』という修正主義西部劇
5 パースペクティヴの変化と期待される深さ
6 『さすらいのカウボーイ』の最終シークェンスとの相違
7 背景音楽と“&”が物語るふたつの裏切り
8 独自の表現を生むズーム・ショット
一致性/連続性←→半・一致性/非・連続性
第4章 ポスト・ノワールに迷い込んだ古典的ハリウッド映画
──『ロング・グッドバイ』
1 「違和感」の要因は「怠慢」にあるのか?
2 導かないメロディ
3 隠された顔
4 信用できないズーム・イン
5 グレープフルーツ、コーヒー、コーク瓶、そして因果性のない暴力
6 フーレイ・フォー・ハリウッド
結 インディペンデント・ムーヴメントの父?
あとがき
参考文献
索引
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