二つの政権交代 - 政策は変わったのか

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二つの政権交代 - 政策は変わったのか

  • 著者名:竹中治堅
  • 価格 ¥3,630(本体¥3,300)
  • 勁草書房(2021/01発売)
  • ポイント 33pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326351701

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内容説明

2009年に民主党に政権が交代し、2012年に自民党に政権が戻った。この二つの政権交代は政策の内容やその決定過程にどんな影響を及ぼしたのか? 農業、電力・エネルギー、コーポレート・ガバナンス、社会福祉、税制、外交、防衛、法制執務の8つの政策を精査すると、安倍政権と民主党政権の知られざる継続性が浮かび上がる。

目次

序章 政権交代は何を変えたのか[竹中治堅]
 1 はじめに──本書の目的
 2 どのように時期を区分するか
 3 政策形成過程で注目する点
 4 八事例を選択した理由
 5 おわりに──各章への導入として

第1章 農業政策──政権交代がもたらす非連続的な米政策[濱本真輔]
 1 はじめに
 2 米政策の政策手段
 3 政権交代の可能性に揺れた米政策
 4 民主党政権下の非連続的な過程と政策
 5 決定過程の集権化と構造政策の加速
 6 おわりに

第2章 電力システム改革──電力自由化をめぐる政治過程[上川龍之進]
 1 はじめに
 2 自民党・公明党政権下での電力自由化の停滞
 3 民主党政権下での電力システム改革論議の進展
 4 第二次・第三次安倍内閣での電力システム改革の進展
 5 おわりに

第3章 コーポレート・ガバナンス改革──会社法改正とコーポレート・ガバナンス・コードの導入[竹中治堅]
 1 はじめに
 2 コーポレート・ガバナンスの定義と注目を集めるようになった経緯
 3 一九九〇年代から第一次自民党・公明党政権まで
 4 民主党政権
 5 第二次自民党・公明党政権
 6 おわりに

第4章 子育て支援政策[砂原庸介]
 1 はじめに
 2 第一次自公政権期における子育て支援の位置づけ
 3 民主党政権による改革
 4 第二次・第三次安倍政権
 5 おわりに

第5章 消費税増税──社会保障との一体改革[木寺元]
 1 はじめに
 2 租税政策のアリーナ
 3 第一次自公政権
 4 民主党政権
 5 第二次自公政権
 6 おわりに──継続と変容

第6章 対外政策──安全保障重視のアジア外交へ[佐橋亮]
 1 はじめに
 2 地域環境の悪化
 3 第一次自公政権末期──アジア外交の強化
 4 民主党政権における対外政策──「同盟の論理」の再浸透
 5 第二次・第三次安倍政権──日米同盟とアジア外交の融解
 6 おわりに

第7章 防衛大綱改定[細谷雄一]
 1 はじめに
 2 防衛大綱とは何か
 3 民主党政権下の防衛大綱策定
 4 安倍政権下の防衛大綱策定
 5 おわりに

第8章 憲法解釈の変更──法制執務の転換[牧原出]
 1 はじめに
 2 法制執務の守備範囲
 3 一九五五年体制下の法制執務と湾岸戦争
 4 民主党政権と法制執務
 5 第二次安倍晋三政権と安保法制
 6 おわりに

結章 安倍政権と民主党政権の継続性[竹中治堅]
 1 はじめに
 2 政権交代が政策に及ぼした影響
 3 政策決定過程の「集権化」
 4 二〇〇九年の政権交代の意義
 5 結論

あとがき
執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

31
オビに踊る「安倍政権は民主党政権の延長だった!?」に膝を打つ。09年の転換と12年の継続は、自分の専門領域での政策や予算配分に、常々感じていたことだったからだ。◇ここで分析されるのは、農業や電力システム、ガバナンス、子育て、そして安全保障などの8領域。12年に転換のある領域もあれば継続もある、それは直面している環境次第と冷静な分析。二度の政権交代は、硬直して袋小路に入りかけていた各領域での課題対応をかなり促進したということがわかる。◇研究者たちの冷静さ、客観性に安心感を持つ。自分たちも冷静に見ていかねば。2017/02/21

wuhujiang

1
「現在の政策は多くが民主党政権時代の決定を引き継いでいる」と聞いていたが、実際に知られたのは本書のおかげ。現在進行形の問題であったりするので、政治家に対しては毀誉褒貶が激しい。そんな中、2012年の政権交代から5年程度でこんな冷静な分析がされているのは見事。また、首相を中心とした内閣官房の影響力が高まっているという着眼点にも気づかされることが多い。自民党の派閥はニュースでも取り上げられているが、派閥ごとの違いが政策に影響を与えているのか?も着目したい。(今の岸田政権には当てはまらない可能性もあるが)2022/08/20

バルジ

1
2009年・12年の政権交代を冷静に見ることができる一冊。 政権交代で何が変わり何が変わらないのか8つの政策分野を軸に考察していて、ミクロかと思うと実はマクロな視点から分析しているのに気づく。政策決定過程の「集権化」は今話題の森友・加計問題を見る際に制度的な背景として頭に入れておく必要があるのではないだろうか。2017/10/29

小形克宏

0
2001年から2015年にかけて、8つの政策分野の変化をまとめる。注目点は第一次安倍内閣から2009年の民主党への政権交代、そして2012年の第二次安倍内閣へという2度の政権交代が、どのように政策に影響を与えたか。浮かび上がってくるのは、電力、税制、外交、防衛などの分野で民主党がおこなった改革を第二次安倍内閣が引き継いでいること。同時に、この時期、首相やその周辺政治家の役割の増大と、それに反して政府外の与党議員の地位低下が起こっていることが指摘される。これも民主党政権と第二次安倍政権に共通した特徴だ。2017/04/18

Kenji Suzuya

0
農業、税、外交、安保、法制など、様々な政策分野を事例に民主党政権・第二次安倍政権での政策の連続性・非連続性を検討する。政権は違えども、ごく一部の重要分野を除けば、政策には一定の連続性があり、その過程で旧来の政策決定過程とは重心がずれていることが言及される。一方で、本書の着目点であるはずの、首相自身の権力強化や、中央省庁再編に端を発する内閣官房など政権を支える行政機構の強化については、個別の政策分野の記述に埋もれて上手く描けていないように思われる。2017/04/10

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