内容説明
グローバル化の中で世界の人々の考え方は似通ってきているのだろうか。1981年以来、6回にわたって続けられてきた世界価値観調査から、日本人の考え方の変化と世界の人の考え方の変化をつきあわせる。日本人は競争を追求するのか。日本は世界に開かれているのか閉じこもっているのか。そうしたなぞを解き明かす一書。
目次
まえがき
第1章 世界価値観調査とは
1.1 世界価値観調査の概要
1.2 世界価値観調査のスキーム
1.3 世界価値観調査から得られた知見・意義
1.4 データ・セットの利用の手引き
1.5 最後に:本書について
第2章 個人・生活観
2.1 人生・ライフスタイルに関する意識
2.2 ジェンダー・家族に関する意識
2.3 宗教に関する意識
2.4 生活様式の変化
第3章 社会観
3.1 社会システムに関する意識
3.2 社会・政治行動
3.3 環境に関する意識と行動
3.4 近隣・治安に関する意識
3.5 信頼と寛容性に関する意識
3.6 高齢化社会に関する意識
3.7 科学技術に関する意識
3.8 情報に関する意識
第4章 政治観
4.1 政治に関する意識
4.2 民主主義および政治制度に関する意識
第5章 国家・国際社会観
5.1 自国に関する意識
5.2 国際社会に関する意識
5.3 近未来展望に関する意識
終章 グローバル時代における日本人の価値観
引用文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
45
世界の国と日本人の価値観の違いがわかる興味深いデータが色々ある。日本人の性向と本音が浮かび上がる。人生の自由度は最下位。働く事があまり重要でなくなる生活様式の変化を望む割合は先進国中最低。環境保護か経済成長かの二択は拮抗していたが、環境保護が減り、経済成長優先の傾向。移民や外国人労働者など異質な人に不寛容。新聞やテレビなどのマスメディアへの信頼度は高い。他方、政府や政治、政党への信頼度は低い。残念なのは、2010年の調査なので、東日本大震災と原発事故の影響が反映されていない点。2017/08/27
テツ
15
2010年に行われた世界価値観調査に関する諸々。文化風習や歴史によってそこに暮らす人々が共有する大まかな価値観や幸福感は創り上げられていくのだろうから、東洋の小さな島国(しかも先細りの真っ只中)に生きる人々が全体的にそこそこネガティブなのは仕方がないのではと感じる。楽観的な思考にも悲観的な思考にもメリットとデメリットが共にあるのだから、無理に明るく健やかな価値観を目指すよりも、自分たちがもつそれについての強みと弱みをしっかりと知って利用することの方が現実的なんじゃないかなあ。2022/01/24
M
6
現在では129ヵ国と、世界の多くの国でも実施されている調査で、世界でも主要と考えられている価値観を質問紙から各国ごとに個別で作成され、それらの回答を収集した後、統計的に処理し、導き出されたデータから、項目ごとに考察を挙げている。個人的には、冒頭に述べられた世界価値観調査の理念には関心させられながらも、その調査方法の準備段階での質問紙の作成の過程で、どれだけの議論が費やされているのか、また、統計分析における準拠集団効果などをどのように解釈し、データに反映させているのか、などの裏側の事情が気になってしまった。2020/11/25
だ~しな
6
世界価値観調査におけるデータをもとに、世界各国の人々と日本人における考えかた・意識・価値感の違いを浮かび上がらせようとしている著作。カテゴリーごとに分かれており、さらに数値の違いをかなり細かく分けて分析しており、数字慣れしてないと骨が折れる。(かく言う私もその一人)まどろっこしいと思う方は、結論だけ読んでもいいかもしれない。 差異を分析する上で日本人の価値観などに踏み込んでおり、意外と意識していないところまで気づきを得るのはなかなか楽しかった。年代別ごとの価値感の分析でも、世代間を感じることができる。2017/05/07
しお
2
2010年世界価値観調査というアンケート結果から日本人の特色を見ようと試みる書籍。図表・グラフが多く、俯瞰しやすい。価値観のズレを感じるのは、2022年から見たからなのか。Evidence based policy making 向けではない。一方で、安全保障、政治、環境、外国人、LGBT、マスメディア信用度、帰属意識などなど、定点観測した内容で社会変化を確認できる取り組みは有意義だと感じた。2022/11/23