ナチズムは夢か - ヨーロッパ近代の物語

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ナチズムは夢か - ヨーロッパ近代の物語

  • 著者名:南利明
  • 価格 ¥13,200(本体¥12,000)
  • 勁草書房(2021/01発売)
  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326200566

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内容説明

ナチズムは、歴史上唯一無二の出来事ではなく、近代に固有の、これからも繰り返されうるであろう、ごくありふれた一つの出来事ではなかったか? ジェノサイドに至り着く悪魔の支配を生み出したナチス統治体制の淵源を、ルネサンスからニーチェまで、ヨーロッパ近代の歴史に探り、その正体を暴き出すことにより、権力の暴走と不法支配再来阻止のための批判的視座の確立を目指す。

目次

はしがき

序 「ジェノサイドは近代的権力の夢であった」のか?

第I部 夢のはじまり──ヨーロッパ近代の相貌と本質

第一章 科学的遠近法の誕生
 1 絵画の革新
 2 遠近法の科学的基礎づけ
 3 構成的技法としての遠近法

第二章 近代という時代
 1 端緒の起源への問い
 2 空間の個人化
 3 時間の個人化
 4 個人化の揺籃としての都市
 5 近代人の誕生
 6 自我意識と絵画の革新
 7 ルネサンスとは何であったのか?

第三章 自然科学の誕生
 1 コペルニクス革命
 2 方法の優位
 3 科学誕生の謎

第四章 近代の形而上学
 1 “De revolutionibus”
 2 コギト・エルゴ・スム
 3 主体と客体の形而上学
 4 世界像の時代
 5 主体性の形而上学
 6 機械装置

第五章 主体性の形而上学と近代国家
 1 法律─権力
 2 生─権力
 3 新たな人間類型の生産I──訓育
 4 新たな人間類型の生産II──育種
 5 パノプティコン

第II部 夢の展開──ナチス・ドイツの憲法体制

第一章 ナチズムの世界観
 1 現存在に対する全体的支配
 2 大地をめぐる諸民族の戦い

第二章 合法革命
 1 ライヒ国会の解散・選挙
 2 全権授与法の成立
 3 合法革命の実行と完成

第三章 課題としての民族共同体の建設

第四章 運命共同体の建設──新たな人間類型の生産I
 1 民族の精神的意思的統一の再建
 2 共同世界の溶解作業と強制的同質化
 3 党による全体教育
 4 行進する縦隊としての民族共同体
 5 民族の敵に対する対内戦争
 6 共同体と犯罪
 7 共同体と犯罪者
 8 共同体と刑罰
 9 特別裁判所と民族裁判所
 10 犯罪学的本性に対する人種生物学的闘争

第五章 種共同体の建設──新たな人間類型の生産II
 1 神の御意思の実現
 2 婚姻の本質と目的
 3 婚姻・出産の奨励と多子家族の保護
 4 遺伝病者に対する断種と妊娠中絶
 5 婚姻に対する指導と管理
 6 ドイツ民族の人種改良
 7 反ユダヤ主義
 8 ユダヤ人商店のボイコット
 9 ユダヤ人立法の開始
 10 人種法律

第六章 指導者─憲法体制
 1 民族共同体と憲法体制
 2 指導者─憲法体制の構成原理
 3 指導者─憲法体制の非国家的性格

第七章 指導者─国家─憲法体制
 1 政権掌握とライヒ指導の受託
 2 党と国家の統一
 3 指導者兼ライヒ首相アドルフ・ヒトラー

第八章 指導者─国家─憲法体制と立法
 1 立法の新構成
 2 立法への党の関与
 3 立法権の指導者権力化
 4 民族指導と立法

第九章 刑法典編纂事業とその挫折
 1 刑法典編纂事業の開始と草案の完成
 2 法典編纂をめぐる党と国家の確執
 3 刑法典草案の審議とその結末
 4 立法の終焉

第一〇章 民族の生存法則の執行
 1 第二革命の制圧
 2 警察による予防的措置の執行
 3 戦時における人種衛生の展開
 4 ユダヤ人問題の最終解決

第一一章 血によって署名された永遠の法典

結語 夢の結末

あとがき

事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

23
ナチズムの世界観、その本質をヨーロッパの歴史から探る。人間を神に代わって世界の所有者にして支配者にせんとする、近代ヨーロッパの「夢」をルネサンス文化、自然哲学、主体性の形而上学の議論を展開させながら考察し、訓育=解剖政治学の起源を16世紀、育種=生政治学の起源を18世紀に見出している。◆一番感動的なのは、この大著が書き下ろしらしい事。20年近い年月を要したのだろう、世の中こういう途方もない事をやる研究者がいるもんだ。とにかくケタ外れのダイナミズム、これぞ読書の醍醐味。2019/11/25

funuu

11
誰もが全体動員と総活躍体制から逃れることは許されない時代の到来である。生身の人間の「存在」は計算機械によりカードの中に集約された複数の記号の塊と等価となる。すべての「存在」を宰領するかのような彼もまた、所詮は、機械装置の臣下へと貶められた一個の服従する主体でしかないことを。民族としは日本はヒトラーの野望を達成している。遺伝検査、IPS細胞で新たな人種の創造も可能となった。2017/03/18

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