地方暮らしの幸福と若者

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地方暮らしの幸福と若者

  • 著者名:轡田竜蔵
  • 価格 ¥3,960(本体¥3,600)
  • 勁草書房(2021/01発売)
  • ポイント 36pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326654079

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内容説明

本書は、日本の若者研究の文脈と、「地方暮らしの幸福」に関する議論の文脈とをかけ合わせた問題意識から出発し、地方暮らしの諸側面を総合的に捉え、その社会的課題を考察する。広島県内の「地方中枢拠点都市圏」と「条件不利地域圏」の二つの自治体の若者(20~30代)への質問紙調査とデプス・インタビュー調査から答えを探る。

目次

序 章 本書のあらまし
 序-1 趣旨
 序-2 データと構成
 序-3 対照的な二つの調査地──「まち」の安芸郡府中町と「いなか」の三次市

第I部 総論・理論編

第1章 総論:「地方暮らしの幸福論」の時代と若者
 1-1 若者の地方暮らしの描かれ方
 1-2 「地方暮らしの幸福」の捉え方
 1-3 小括──コミュニティの幸福ではなく、個人の潜在能力に着目する

第2章 「地方暮らしの若者」の社会的実態の分析視点
 2-1 「地方」の多様性をどう類型化するか
 2-2 「地方中枢拠点都市圏」の若者/「条件不利地域圏」の若者
 2-3 居住歴の多様性──「地元」中心のバイアスを避ける
 2-4 小括──行政区分ではなく、個人の生活圏から考える

第3章 「地方暮らしの幸福」の規定要因──広島二〇~三〇代調査の統計分析から
 3-1 地域間の満足度格差
 3-2 満足度格差と経済的要因
 3-3 満足度格差と存在論的要因
 3-4 小括──地域満足度と主観的な「暮らしの質」との違い

第II部 各論・事例分析編
    〈デプス・インタビュー対象者の概要〉

第4章 地元定住/地域移動の事例分析(1)──地方中枢拠点都市圏(安芸郡府中町)の場合
 4-1 地元に残る/地元に戻る
 4-2 地域にひきつけられる
 4-3 小括──地方中枢拠点都市圏の求心力

第5章 地元定住/地域移動の事例分析(2)──条件不利地域圏(三次市)の場合
 5-1 地元に残る/地元に戻る
 5-2 地域にひきつけられる
 5-3 小括──条件不利地域圏の求心力

第6章 ライフスタイル──田舎志向と地方都市志向のあいだ
 6-1 統計データから見る「大都市志向」「地方都市志向」「田舎志向」
 6-2 地方中枢拠点都市圏(府中町)のライフスタイル
 6-3 条件不利地域圏(三次市)のライフスタイル
 6-4 小括──地域間格差ではなくモビリティ格差

第7章 働き方──「安定志向」とそのオルタナティブ
 7-1 統計データから見る仕事についての意識
 7-2 「働き方」についての事例分析
 7-3 小括──厳しい地域経済の情勢下での「働き方改革」


第8章 社会関係──ソーシャル志向と社会感覚
 8-1 社会関係の実態と意識──統計分析から
 8-2 「ソーシャル志向」の事例分析
 8-3 社会感覚についての事例分析
 8-4 小括──「幸福のジレンマ(個人の幸福と社会の幸福のずれ)」を見つめる

終 章 地方暮らしの幸福の成立条件
 終-1 本書の結論
 終-2 残された課題

あとがき
巻末資料
文献
デプス・インタビュー対象者索引
人名索引
事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みかん

12
地方暮らしの幸福の研究。本書では広島の三次市、府中町に住む人(20〜30代)への調査から経済学視点で緻密に研究、分析をしたもの。幸福度は「住む場所」で決まりそうで決まらないのかも。結局は本人の満足だろうなと思ったが、やはり育った環境と経済力と学歴で大きく左右する。シビアかつリアルですごい良い本だった。2020/02/21

まゆまゆ

8
地方で暮らす20~30代の若者の生活実態から若者の幸福について論じる内容。結論としては地理的要因よりも個人の社会的構成の違いが重視され、いわば場所よりも「居場所」が幸福に大きく関わるということか。確かに車でちょっと移動すればモール等々遊んだり買い物できる場所があれば満足度は高まるだろうけどね。2017/06/26

sk

4
地方暮らしの若者の幸福について、社会学的に分析した興味深い本。各種データを駆使しながら説得的な論の展開。社会学のお手本。2018/08/23

kenitirokikuti

4
〈自分の趣味には「おたく」的要素がある」と回答するのは、子無しの二〇代男性に多く、その過半数を占め(府中町六一・六%、三次市五五・四%)、ACG文化の影響力がうかがえる〉p.258、注(1)。予想よりずっと多かった▲マツダ財団からの委託研究が基礎で、調査対象地区はマツダ本社のある広島市「内」の府中町、同社の工場がある三次市▲「東京と地方」という対比は過去のもので、少なくとも21世紀初頭の日本の現実には合わないようである。地方都市や過疎地の若者が、守旧派の価値観を持っているということはないそうだ。2017/06/25

木村あきら

1
①個人のライフスタイルと、国策としての地方移住を一緒に考えることはどうなのか。という問題提起から案の定、個人の幸せは住む場所とあまり相関がない ②都市と地方ではなく、中核都市と条件不利地域の対比の方が幸福度、人口動態の変化的にも明確である ③押し出す力、ひきつける力、地域がひきつける力の3点が人口動態に影響を出す。押し出す力を弱めることには構造的ハードな投資が必要だが、惹きつける力を強めることはソフトな取り組みでよかったりする。 地域で言われているなんとなくの感覚はとっくに研究されていた。2022/07/11

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