内容説明
安保法案、辺野古問題、改憲論などの議論が高まっている今、憲法学の重鎮が憲法と民主主義の核心について解説します。憲法の市民講座を長年つづけてきた著者が、憲法の基礎知識を一冊にまとめました。資本主義経済、地方自治、公教育と憲法の結びつきや、条文の思想的・歴史的背景、他国と比較したときの日本国憲法の特徴など広い視野から総合的に学んでいけます。
目次
はじめに
第I部
第一章 憲法と資本主義――近現代の市民憲法はどのような資本主義体制を求めてきたか
I はじめに――若干の用語について
II 近代立憲主義型市民憲法の「光」と「陰」
III 現代市民憲法の対応
IV 現在の課題
第二章 近時における「一〇〇年に一度の危機」の進行と憲法・序説
I 「前置き」――『憲法と資本主義』(二〇〇八年八月刊)の簡単な紹介
II 「一〇〇年に一度の危機」と憲法
第三章 日本国憲法と公教育――「教育権の独立」の問題を中心に
I はじめに
II 近代における二種類の公教育の登場
III 日本国憲法と公教育
第四章 日本国憲法の「立憲主義」とその破壊
I はじめに
II 二つの立憲主義
III 立憲主義を破壊するもう一つの要因――憲法の基本用語の悪用・誤用
IV 「軍事立憲主義」の人類的伝統とその修正の動向
第五章 日本国憲法下における際立つ民主主義の軽視――その克服を
I はじめに
II 中央政府の民主化を
III 憲法と地方自治――連続する「危機」のなかで考える
第II部
第六章 日本の憲法学と「統治権の権利主体としての国家」論――あいまいにされ続ける「統治権の所有者としての国家」の概念
I はじめに
II 明治憲法下における「国家」論争
III 比較憲法史における統治権の権利主体としての国家の問題
IV 日本国憲法下の問題