内容説明
刀を持たぬ剣術遣いと刀剣蒐集妖女との邂逅。
藤田五郎翁は刀を手にし、表に飛び出した。斬殺された男ふたりが道端に倒れている。
傍に立ち、血刀を提げた巨漢が唸り声を上げた。転瞬、ふたつの刃が火花を散らす。それも束の間、巨漢が隙を突き、姿を消した。
残された藤田が目にしたのは、亡骸の首元に彫られた蜘蛛の入墨、周囲に転がる数珠玉だった……。「立て続けに妖刀が出没して、人を斬っている」との噂を聞いた、東京帝国大学理学部教授の山川健次郎は、事件の真相を突き止めてほしいと、加能碧一と行成光雄に依頼した。
ふたりは、梁山泊屋敷と呼ばれる〔水城よろづ商会〕に出入りする用心棒コンビなのだ。刀を持たない剣術遣いの碧一と、二振の短刀と棒手裏剣を全身に仕込んでいる光雄は早速、刀剣蒐集家ウィルソンの邸へ赴いた。
ウィルソンが蔵で保管していた四谷正宗こと源清麿が血染めになっていたのだという。刀の装飾には蜘蛛が施されていたらしいが、前の事件を鑑みると、近頃一部の富裕層を取り込みつつある謎の組織〔蜘蛛の会〕を主宰し、人知を超えた力を使うと言われる妖女、多摩峰トワ子が関係しているのか?
剣光疾り、太刀風駆ける、書き下ろし大正ノワール日本刀アクション!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
14
素直に面白い!帝都に起こった血なまぐさい連続殺人。妖刀数珠丸の存在が仄めかされる中で、真相を追う光雄と碧一。令嬢のお転婆ぶりも面白い。梁山泊屋敷からは、いくらでも引き出しがありそう。藤田翁にはにやりとさせられる。是非シリーズ化して頂きたい作品。2021/07/01
なみ
11
用心棒の碧一と光雄が人を斬る刀の噂の真相を突き止める話。 色々な視点から、少しずつ事件の全貌が見えてくる構成は読んでいて楽しかったし、登場人物たちもみんな魅力的です。 戦闘シーンの研ぎ澄まされた文体が印象的でした。 あと最後の方の碧一が格好良すぎる……。2021/01/09
陽介@中四国読メの会参加中
9
話自体は面白かったです。しかし、途中何度も「シリーズものの続きに手を出したのか?」と思うくらい、読者がキャラを判ってる感じで話が進んでいきます。良く言えばテンポが良い、悪く言えば読者置いてけぼりな訳ですが。良く読むと、描写はあくまでもキャラクタの視点でされているのでなんとなく納得。知人友人見るときに、相手の過去はこうであるとか「大正○○年の現在、日本の状況は~」等と考えはしないわけで。そのうち明らかになるなだろうと思って読み進めました。とは言えもうちょい色んな所に描写割いて欲しいなーと思ったのも事実。2021/01/21
K子
5
大正時代が舞台の、刀剣がむちゃくちゃプッシュされまくっている時代小説です。 2020年に鬼滅の刃が大ヒットして流行語にもなったくらいだけど、作品単体がヒットしたのであって、必ずしも大正時代が話題になったわけでもなく、刀で戦うバトルものがメインストリームになったわけでもない。実際、鬼滅の二番煎じといえるような模倣作品は出てきていないわけで。 そんな中で本作品は、大正時代に刀なわけですから、流行の要素に素早く乗ったと言える。判断が早い。 大正ノワールと帯で謳われているのですが、2021/01/07
さとみん
4
冒頭の藤田翁にニヤリとさせられ、本編も楽しく読んだ。ただタイトルのわりに用心棒が単なる使い走りになってしまって、むしろ刀剣が主役になっていた印象。シリーズ化されるなら話の中心は彼らになるんだろうけど、このまま刀剣ネタをメインにした方が面白い気がする。となると泉助が主人公で用心棒は脇に回った方がバランスがいいかもしれない。などと余計なことを考えてしまった。2021/05/04
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