内容説明
あの子は大きすぎ
小さい子は物足りない
八つ裂きに〈手ごろ〉なのは…
ある日とり憑かれた残虐衝動。
岡山の風習〈ホトホト〉、旧家の座敷牢
繋がる恐怖の因縁とは?
「ハリコサンとテディベア」より
著者渾身の単著デビュー作、鎮魂の恐怖実話!
実話怪談に魅せられ、「板橋怪談会」ほか精力的に怪談の生語り会を主催してきた著者が書き下ろす渾身の初単著。
・妊娠した妻に付き纏う不気味な男の子。不幸にも出産に至らなかったが、夫にはその心当たりが…「食べるべからず」
・聴覚過敏で物事に集中できない少女。自らを発達障碍と疑うがその原因は鬼と母に…「チェンジ・ザ・ワールド」
・ゴミ捨て場から持ち帰ったぼろぼろのテディベア。繕ったそばから生まれる残虐な衝動の因縁とは…「ハリコサンとテディベア」
・戦後間もない明石で孤児を救った幻の歌…「赤卒」
…他、亡き仲間と全ての霊に捧げる畏怖と鎮魂の怪奇譚!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
254
女流実話怪談作家・しのはら史絵さんの22編収録の作品集は昔ながらの怪談噺が詰まっていて大きな個性はありませんが、堅苦しくはなく随所にユーモアも感じられて気楽に楽しめますね。葬歌ねえ、ああ、そうかという位な軽い気持ちで読みましょうね。『歓迎』ご近所に住む木村さんが急逝し訃報が届いたのは中学生の息子と旅行中の時だった為、葬儀には間に合わなかったが旅帰りの足で弔問に向かった。季節は晩夏で35℃の猛暑日だったが木村氏宅に入ると冷房が効きすぎているのか、やけに寒かった。木村氏の遺影に手を合わせるとドンッと音がした。2022/04/02
HANA
62
実話怪談集。著者の処女作という事だが、そうとは思えないほど熟達している気がする。「チェンジ・ザ・ワールド」や「ハリコサンとテディベア」等の人間の業を垣間見せるような絶妙な嫌さ加減や、「不動産と神社」「創造主」等の何気ない善意が裏返ったような嫌さ等はもう堪らないものがあります。一方で「返したかったもの」等の良い話も含まれているのだが、個人的には実話怪談にジェントル・ゴースト・ストーリーは求めていないから、こちらは余分に感じたかな。停滞しつつある実話怪談だが、これから新しい風を吹かせて欲しいものである。2021/02/21
坂城 弥生
44
「捜索」「画像の女」「赤卒」の3作が特に印象的でした。2021/01/26
qoop
11
著者が話の中に顔を出す仕方などは初単著とは思えない熟れ具合。例えば〈話すべからず〉などは元話自体の面白みを巧く扱っているという感を受けたし、〈猫爺〉は余韻を残すオチの付け方が好印象。構成や語り口の面などでも、実話怪談というジャンルそのものの充実度が新規参入者のレベルアップに寄与している好例ではないかと感じた。2021/01/04
有機物ちゃん
7
ちゃんと不気味で怖いのと、作者さんが怪異の背景に悲しんだりやるせない気持ちになってるのが伝わってくる文章でよかった。「丸く収まる」「食べるべからず」「捜索」「チェンジザワールド」「返したかったもの」「画像の女」「化かされた」「ハリコサンとテディベア」「赤卒」が特に好き2025/11/08
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