医療崩壊の真実

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医療崩壊の真実

  • ISBN:9784295200857

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内容説明

【『医療崩壊の真実』――新型コロナであぶり出された日本の医療体制の問題点と急所、病院現場が取るべき戦略とは?】

コロナ禍の医療ビッグデータ分析で、メディアが報じる「医療崩壊」とは全く異なる真実が浮き彫りになった。

米スタンフォード大学の医療経済学者として、また米国および日本を拠点とする医療コンサルティング会社の幹部として長年、日米の医療を俯瞰してきた著者が、新型コロナウイルスが病院経営に与えた影響と現在の医療界に横たわる数々の問題をデータとともに分析。客観的なデータが暴く、コロナ以前からの医療クライシス。日本医療の「急所」と病院現場が取るべき戦略とは。

〈本文より〉
「新型コロナでベッドが足りなくなる」、「ベッドが不足して医療崩壊が起きる」と恐れられた予測は実態から乖離していたのです。問題は日本全体の病床数そのものではなく、コロナ患者を受け入れた医療機関の病床機能や専門医師などの医療資源について、場所やタイミングなど「配分」の問題であることがみえてきました。コロナ患者を受け入れた医療機関で必要な医療資源が不足していたり、受け入れていなかった施設の中には充足していたけれどコロナ対策に活かされず有効活用されなかったりといった医療資源もありました。医療資源「配分」の問題の背景に、日本において“病院数過多”による医療資源の「分散」という深刻な問題があるのです。今回コロナがその「分散」の問題を「医療逼迫・医療崩壊」という形で炙り出したのです。

〈本書の特長〉
・客観的なデータが暴く、コロナ以前からの医療クライシス!
・日本医療の「急所」と病院現場が取るべき戦略を解説

〈本書の目次〉
■はじめに 新型コロナが日本医療で浮き彫りにしたもの

■第1章 新型コロナウイルスが病院に及ぼした破壊的影響
「病床不足による医療崩壊」の危機とは/全国の急性期病院3~4割のデータを分析/コロナ入院患者の7割は軽症だった/肺炎、ウイルス性腸炎、急性気管支炎の「患者が消えた」 ……他

■第2章 コロナ前から日本医療は「崩壊」の危機だった?
日本は世界一のベッド数、「急性期病床大国ニッポン」/「患者のため」か「病院のため」なのか/「外来で可能な医療」実施のハードル/「素泊まり入院」試算、8900億円の衝撃 ……他

■第3章 需要と供給のミスマッチ――「医療崩壊」を避けるためには
日本医療の歪んだ現実/一般病棟やICUはどれほど逼迫していたのか? /コロナ受け入れ病院の4割強で集中治療専門医存在せず/重症患者が「一般病棟」で軽症患者がICUを利用していた? ……他

■第4章「日本病院会」相澤孝夫氏鼎談――「医療と介護を存続させるための解決策」
コロナ禍の「医療崩壊」は「10年後の日本社会」/「おまかせ医療・おまかされ医療」の限界/コロナ禍における「保健所」の機能/「医療介護福祉総合提供施設」による役割分担 ……他

〈著者プロフィール〉
渡辺さちこ
株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン代表取締役社長。看護師として臨床に携わったのち、慶應義塾大学経済学部入学。同大卒業後、米国ミシガン大学へ留学し、医療経営学、応用経済学の2つの修士号を取得。帰国後、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社コンサルティング事業部などを経て、2003年より米国グローバルヘルスコンサルティングのパートナーに就任。800以上の急性期病院のビックデータ実証分析で経営改善支援を行う。主な著書に『患者思いの病院が、なぜつぶれるのか? 』、アキよしかわとの共著に『日本医療クライシス』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

アキよしかわ
国際医療経済学者、データサイエンティスト。カリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学で教鞭を執り、スタンフォード大学で医療政策部を設立する。米国議会技術評価局(U.S.Office of Technology Assessment)などのアドバイザーを務め、欧米、アジア地域で数多くの病院の経営分析をした後、日本の医療界に「ベンチマーク分析」を広めたことで知られる。米国グローバルヘルス財団理事長、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン会長。米カリフォルニア在住。主な著書に『日本人が知らない日本医療の真実』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『日米がん格差』(講談社)などがある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

teddy11015544

10
問題の議論は病院に特化しているが、日本の医療の問題はこれを取り巻く診療所と医師会、病院のコアにいる大学という存在があって、それを抜きには構造の改革は片手落ちであり、本質的な変化は望み得ないだろう。2020/12/27

kitten

6
図書館本。コロナであぶりだされた「医療崩壊」とはどういうことか。病院の診療報酬のデータから何がおこっていたのか、何が必要なのかを論じている。感想として、「これは無理だ」。急性期病床が余っているのに、医療従事者が足りなくて入院患者が受け入れられない。日本の医療制度の弱点をズバっとつかれているが、これ、数年でどうにかなる話ではないよ。改革するのに平時なら10年単位でかかる話だ。春の惨状を受けて、冬に再び医療崩壊を起こしているが、半年でどうにかなるほど簡単な問題ではなかった。きつい。医療従事者、がんばれ。2021/02/17

Kazuo Ebihara

3
全国500あまりの病院のデータを分析し、昨年3〜7月に何が起こっていたのかを明らかにしています。 コロナ禍において、多くの病院は患者が激減し、経営が悪化。マスク着用、手洗い励行によりコロナ以外の感染症が減ったこと。軽症の通院患者が減ったこと。検査も減り、新たな患者を見つけられなくなったことが重なったためです。 病床は不足しておらず、「医療従事者の不足」が問題の本質。 日本の病床数は欧米諸国と比して圧倒的に多い。 病院経営の抱える構造的問題がコロナで露呈し、病院の再編統合は待ったなしです。2021/02/20

びーばー

2
急性期病床が多(OECD各国平均の約2.2倍)く、医師や症例の集約がなされず医療の質の担保や病院経営が難しくなるというクライシス。2021/03/30

朝ですよね

2
コロナで予定入院も緊急入院も減ったという現象も、ユニットや病床はあるが専門医が点在しており活用できていないということも、裏付けとなるデータが示されているので説得力があった。手術件数と合併症発生率に負の相関があるというデータを見て、医者と患者の集約は忌避されがちな施策であるが重要なことだと感じた。日本のDPC制度は欧米とかなり違うようだが、EDRGやアウトカム指標を設けるといった議論も進んでほしい。感染症2類相当は行政検査なので検査拡大は保健所がボトルネックになるとのことだが、日本人の遵法精神の弊害か。2021/03/21

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