内容説明
「五年間はなにもすまい」。大企業を辞めた洪治は無為な日々を過ごしているが
ある日付き合っていた彼女から昔の不幸な出来事を聞かされる。
絶望に追われた二人の間には睡眠薬の山があった――(表題作)。
なぜ人間は生まれ、どこに行くのか。一度倒れた人間が一歩を踏みだす瞬間に触れる
美しい短編「草にすわる」「花束」「砂の城」「大切な人へ」「七月の真っ青な空に」を収録。
解説・瀧井朝世
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
時代
13
白石氏の昔の寄せ集めらしい。しかしどれもしっかり面白いと思う。やはり氏は人間を描くのが上手い。いいとこもやなとこもまとめて◯2021/01/14
マーシュランド
10
後半の2篇は初めて読んだが、草にすわるは再読▼再読▼白石作品と相性が良い割に、内容は記憶に残っていない▼花束が良かったかな▼230282023/04/26
海燕
7
これまた素晴らしい短編集に出会った。著者の作品は「彼が通る不思議なコースを私も」以来。内省的な人物が多く、そのあたり私の趣味に合っているのだろう。主人公がほとんど内省しないのでは、小説として成り立たないが‥ どの作品にも、いろんな事情で重い荷を背負った、あるいは陰のある人が登場する。どうにも救いようがない状況になったりするのだけれど、最後は光が仄見える、何かしら救いのある情景が提示されるので読後感が良い。「大切な人へ」は別名義による25年も前の作品だが、短い故により鮮やか。「七月の真っ青な空に」も好み。2022/02/11
TT
5
短編集。 大切な人へ が特に好みだった。 小説を読むようになって、ときに人は言葉とほんとうの気持ちと 乖離があるのだなとより深く思うようになった。 相手を想い、嘘をつくときもある。 それを教えてくれる短編だった。2024/01/31
tnyak
5
再読。やはり「花束」が最も心に響いた。 2022/09/30