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内容説明
疫病と政治的混乱の中、最下層民でありながら皇帝にまで登り詰め、約550年に及ぶ明清王朝の礎を築いた朱元璋。何がこの偉業を可能にしたのか。それは「聖賢と豪傑と盗賊の性格をかね備えていた」と清の智者・趙翼が指摘した資質によるものが大きいだろう。紅巾軍に身を投じた当初は盗賊の活動をし、地方政権を樹立するとひとかどの豪傑となり、皇帝となってからは諸々の制度を定め聖賢の働きをした。しかしこの三つの性格は時系列ではなく同時に併存していたのであり、治世中の残忍極まる大粛清も「聖賢」の紛れもない一側面であった。歴史上類を見ない巨人のドラマを、膨大な史料で描き出す。
目次
プロローグ
一 順帝とその時代
天暦の内乱 順帝トゴン・テムルの即位 至正の新政 悲惨な民衆の生活
二 元末の反乱と紅巾軍
白蓮教徒の活動 反乱への序曲 起ち上がる民衆たち 紅巾軍以外の反乱者
三 朱元璋の生い立ち
濠州府鍾離県 少年時代 托鉢僧
四 紅巾軍の中へ
朱元璋の決断 郭子興との出会い 徐州集団の合流 朱元璋集団の発展
五 金陵を目指して
大宋国の盛衰 郭子興の死 渡江 集慶陥落
六 浙東地方の経略
呉国公となる 浙東進出 浙東の四先生 浙東制圧
七 呉王への道
群雄割拠 陳友諒の応天攻撃 内紛 小明王の救出 ⅱ陽湖の戦い 呉王即位
八 最後の決戦
朱呉国と張呉国 蘇州攻撃 戦後処理 紅巾軍との訣別
九 中華の回復
モンゴルの駆逐 大明帝国の誕生 中華意識の高揚 国土の復興
一〇 明帝国の内部矛盾
中都の建設 淮西集団と浙東集団 諸王の分封 南人政権の自己矛盾 改革への着手
一一 朱元璋の苦悩
矛盾の拡大 科挙の廃止 紙幣による江南経済の統制 朱元璋の焦り
一二 独裁体制の確立
空印の案 知識人の抵抗 胡惟庸の獄 江南地主への弾圧 里甲制の施行
一三 恐怖政治の拡大
馬皇后の死 郭桓の案 功臣の粛清 錦衣衛の獄 廷杖 文字の獄
一四 明王朝よ永遠なれ
法治と徳治の狭間 皇太子の死 明王朝よ永遠なれ
エピローグ
文庫版あとがき
図版目録
年表
索引
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