河出文庫<br> 突囲表演

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河出文庫
突囲表演

  • ISBN:9784309467214

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内容説明

若き絶世の美女であり皺だらけの老婆、煎り豆屋であり国家諜報員――X女史が五香街(ウーシャンチェ)をとりまく熱愛と殺意の包囲を突破する!世界文学の異端にして中国を代表する作家が紡ぐ想像力の極北

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Shun

30
初めて読む作家。残雪は中国文学界の奇才と評されているそうで、その名声を表すかのような難解さと読み応えがありました。とある五香街という土地で煎り豆屋を営む女史Xは謎多き人物。周りの人たちの言では年齢は22歳から50歳までとその人物評には諸々あり、さらに元は国家機関職員であったというから不思議な女性だ。その小さな街では彼女を野次馬のような好奇心で監視し様々噂するものだからこれも監視社会のようでもあります。そんな中でも我意に介さずの様子でその社会を生き抜く女史Xの振舞いを表したのがタイトルとなっているようです。2020/09/23

ベル@bell-zou

29
盲目で耳も聞こえずひとつだけある眼玉から放たれるオレンジ色の光線で惑わされる男たち。X女史。彼女はただ顕微鏡を眺め豆を煎りひっそりと生活したいだけなのに。人は群れていると異物を特別視するか或いは同化させ取り込もうとする。心のざわつきに高揚しながらも物事を見たいようにしか見ない。彼女は五香街の常識の範疇にない不気味なヨソ者故にまるで妖怪のごとく語られるのだ。それにしても、この騒がしさ。銘々が声高に自己主張する有り様が、観光地の中国人団体客の賑やかさを彷彿させ同時に混乱を招く。↓2021/01/24

そふぃあ

26
まるで自己主張の強いおばさん軍団に捕まり、終わらない井戸端会議に延々付き合っているような気持ちだった。 姦通が問題なんだと騒いでおきながら、Qを隙あらば誘惑し絡め取ろうとしたり、X女史については散々批判を浴びせながら、自分たちのことは正当化する詭弁の嵐。 論理破綻上等の言いたい放題、ストーキングや家宅侵入などのやりたい放題はマスメディアそのもの。 著者自身が登場した時点で既に疑わしかった文章自体への不信感が増大し、著者に対して人々が暗に「わたしのことはこう書け!」と迫っている描写はもはや喜劇だった。2021/03/15

jamko

20
中国の純文学、閻連科と残雪くらいしか読んでないけど、どうかしてる具合のスケールがでかいよなとしみじみ。帯文にもカフカの名前があるから当然連想するけどほんとカフカみあるし個人的にはカフカより面白かった。だって文庫500pあるのに何も起きない。舞台は五香街だけ、X女史の噂話だけで読ませる異様。自由に生きている(ように見える)女を、排除し観察しときに崇めまた排除するムラ社会がコミカルかつ皮肉たっぷりに描かれる。→2020/10/12

R子

14
X女史はオレンジ色の眼光で人を恍惚とさせ、ときに廃人にする。顕微鏡と鏡を愛し、夜な夜な子供たちを集めては“うさ晴らし”をする。五香街の住人たちの間では、Q男史との姦通が囁かれ…ミステリアスでありながら自由奔放な彼女のことを把握(排除)しようと住人たちは躍起になるが、するするかわされ滑稽だ。それでも終章あたりでちゃんと目的が果たされそうになっているのが恐ろしい。カフカ『城』の饒舌さを楽しめる方にはこちらもぜひ薦めたい。 2022/03/04

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