新潮クレスト・ブックス<br> 赤いモレスキンの女

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新潮クレスト・ブックス
赤いモレスキンの女

  • ISBN:9784105901707

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内容説明

パリの書店主ローランが道端で女物のバッグを拾った。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳。バツイチ男のローランは女が書き綴った魅惑的な世界に魅せられ、わずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始める。英王室カミラ夫人も絶賛、洒脱な大人のおとぎ話第二弾。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

440
フランス文学の香気に満ち、全編にパリのムードが漂う極上の恋愛小説。しかも、大人の。訳文もいい。まずタイトルだが、原題は"LA FEMME AU CARNET ROUGE"(赤い手帳の女)をあえて『赤いモレスキンの女』とするセンスが光る。小説全体はパトリック・モディアノの作品群へのオマージュでもあり、あろうことか作品中にモディアノも登場する。直接的には未訳の『夜半の事故』との関係が深いそうなのだが、『失われた時のカフェで』や『暗いブティック通り』などの作品の持つ「匂い」とも通底する。⇒2023/10/03

星落秋風五丈原

131
前作では、ミッテラン大統領が忘れた帽子が複数の人のもとに行く。次作である本作もやはり“自分のものではないなにか”を手に入れた人物が登場する。但し今回“なにか”はあちこち移動しない。“自分のものをなくした人”と“自分のものではないものを手に入れた人”のシンプルな話だ。また、前回は“忘れられたもの”だったが今回は“捨てられていたもの”になる。前半はローランが、後半はロールがお互いに相手を探しあう。会わない分だけ思いが募るのはまるでアメリカ映画『めぐり逢えたら』のようでロマンティック。 2021/01/21

buchipanda3

127
偶然のちょっと込み入った出会いが描かれた恋物語。幾らか人生経験を経た二人の様子が洒脱な文章で綴られ、心地良い読み味を醸し出していた。本に纏わる話題も豊富でそれも魅力のひとつ。展開でも本は大切な役を果たす。書店主のローランが拾ったバッグの持ち主を知るために中を調べるが、そんなに見て大丈夫かと心配してしまった。でも彼は彼女の好みの本や文章から持ち主の人となりに思い掛けないほど共感を覚え、大胆な行動をしてしまったのだと思う。会ったことがない二人が共鳴していく姿に、最後まで魔法が解けないこと願いながら読み終えた。2021/01/27

のっち♬

124
拾ったハンドバッグの中身から持ち主に想像を巡らせる書店の主。今回も遺失物が映画的に人をつなぐ様をエスプリを効かせて描く御伽噺。コロナ禍を支える読書嗜好がフォーカスされ、別の運命への「可能性のノスタルジー」も記憶・失われた時間・アイデンティティを主なテーマとするモディアノのオマージュとして有機的に縫合されている。ピシエが賑やかに教鞭をとり生徒と文学談義に花を咲かせる場面や、「永遠の若きヒーロー」を立体的に再現せんとするモディアノの描写などは著者の情熱を感じずにはいられない。ロールに移入する場面や手紙も秀逸。2024/02/08

のぶ

120
大変に優れた文学作品だった。主人公のローランは、書店を経営している。ある日、女性が強盗にバッグを奪われる。それを拾ったのがローランだった。ローランはバッグの香水の香りに導かれて、赤い手帳の言葉を読み、バッグの持ち主に魅かれていく。なぜそんなにもそのハンドバッグの女性に執着するのかわからないまま、ローランは女性へとたどり着く、とてもロマンチックな物語。合わせて、ローランの営む書店の本の世界が、本好きにはたまらない部分が多くあった。同じ作家の「ミッテランの帽子」と合わせて魅力的な作品。2021/02/23

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