角川文庫<br> 根津権現裏

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角川文庫
根津権現裏

  • ISBN:9784041079607

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内容説明

明治の末期に、病さえ治せぬ貧困の中に暮らす訪問記者の私。友人の急死によって浮かび上がる社会への怨嗟とは…。初刊から100年、不朽の名作私小説が堂々復刊! 歿後弟子・西村賢太の校訂による決定版。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こうすけ

24
西村賢太が師とあおぐ、大正期の私小説作家・藤澤清造。かつて新潮社の短編集を読んで全然ハマらなかったが、今回あえて挑戦。これが、超絶面白くてびっくり。会話文がとにかくうまく、100年前の作品とは信じられないくらい読みやすい。貧困にあえぐ主人公が、親友の自殺を知るところから始まる物語。とにかく貧しく、そこから全ての不幸が起こる。安らかに逝った、というのは、困窮によって死の苦しみに抵抗する力さえ失くしたからだ、という言葉が重い。時に笑える、味わい深い文体は「これもう西村賢太の文章じゃん!」としか思えない。2022/09/24

かんたろー

6
藤澤清造の長編。西村賢太絡みで読了。私小説では車谷長吉の長編の方が面白かったね。 漢字が難しくて難儀をしました。2022/08/24

sputnik|jiu

4
友人の岡部が自殺した、という。彼の最期の姿を眼にとどめるため、下宿へと向かった「私」は、そこで岡部の兄と会い、彼が狂死に至った所以を語り始める。 岡部の死の一因となった事件について、「私」がとある人物を糾弾する場面は、戯作らしいといえばらしいが、いくぶん冗長にも感じられた。けれども、それが語られた作中の時間、そして文章の圧力が丸ごと「私」に返っていく、つまり岡部を狂気に追い立てたのは己だ、という自覚に至る結末部分は凄絶である。2022/02/17

2
西村賢太の人生を変えた一冊。 その後、この作家の歿後弟子を名乗り、芥川賞を受賞するに至る。 氏にとっての運命の本だろう。 貧困な生活の中で足に病を持ち、治療費も払えず、世間を呪う様は、私自身もお金に苦労した10年があるので共感出来る。 衣食住すらままならない極貧描写の序盤と終盤は、一読の価値がある。 ただ中盤、というか物語の大半の自殺した友人について語る場面は、テンポも悪く退屈する。 この本は当時あまり評価されなかったし、新潮社から出版出来なかったそうだが、確かに私も再読しようとは今のところ思わない。2022/05/23

Ryu

1
想像以上に変な小説だった。物語の半分以上は自殺した友達の兄となんでそいつが死んだかを話し合うだけ。そしてすぐに貧乏なのがいけない、金がほしいという愚痴に至る。なんだこれは。小説としてはぜんぜん破綻している。文章もそんなにうまいとは思えない。貧乏について語るときはやたら気合が入っているが…西村賢太はなぜこの作家にそんなに執着したんだ?2024/01/20

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