世界史から読み解く「コロナ後」の現代

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世界史から読み解く「コロナ後」の現代

  • ISBN:9784799327005

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内容説明

グローバリゼーションが強制終了した
「中世から近世の移行期」を振り返り
激動の「新・鎖国時代」の乗り越え方を学ぶ


2020年初頭から始まった「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)が、依然として猛威を振るいつづけている。
中国の武漢発のパンデミックは、まさに不意打ちのような形で全世界を襲っただけではない。
安全か経済かという、究極的で根源的な問いを突きつけている。

パンデミックによる外出制限は、「ロックダウン」や「ステイホーム」という形で、私たちの生活を直撃した。
生命を守るための外出制限は、感染拡大を防ぐために必要だったが、
経済活動が停滞してしまうと、仕事によって得られる報酬や、生きがいもまた失われてしまう。代償はきわめて大きいのだ。また、環境の激変によって、「リモートワーク」という、あらたな就業形態が常態化しつつある。
「新型コロナウイルス感染症」によるパンデミックが、これほど急拡大したのは、「グローバリゼーション」が進行していたからだ。すでに世界中のヒト・モノ・カネ・情報が密接につながりあっているのである。だからこそ、感染症もまた一気に全世界に拡大してしまうのだ。グローバリゼーションの経済的メリットは、きわめて大きなものがあったが、同時に負の側面もあったことを、私たちはどうやら失念していたようだ。
もしかすると、今回の新型コロナウイルスのパンデミックで、「グローバリゼーション」が終わったのではないだろうか。そんな問いをしてみる必要があるだろう。「不確実性」の霧のなかにいる私たちは、手探りでも前に進んでいくしかないのだが、これから世の中がどうなっていくか考えるためには、いったん過去に遡って歴史を振り返ってみるべきだろう。
2020年現在のいま終わりつつある「グローバリゼーション」は、歴史的には16世紀以来3度目のものだ。グローバリゼーションによって引き起こされたカオス状態は、その都度、地球レベルで大激動をもたらしてきた。だが、自然環境の激変による「異常気象」もその原因の1つとなって、カオス状態はあらたな安定状態に向けて動き出すことになる。安定するまでには長い時間がかかるだけでなく、その間にはまだまだ激動が続くだろう。とはいえ、最終的には状態は安定化していくはずだ。カオス状態は、あらたな秩序が形成されるための前段階でもある。
もちろん、「新型コロナウイルス感染症」の渦中にいる私たちには、はっきりと先が見えているわけではない。だからこそ、自分自身の経験ではなく、歴史に学ぶことが必要なのだ。環境が変わる以上、歴史がそのまま繰り返すことはないが、似たようなパターンが繰り返されてきたことは否定できないのである。
そこで本書では、16世紀後半に始まり、17世紀半ばに終息した「第1次グローバリゼーション」とその後について考えてみたいと思う。「コロナ後」に生きるための、ヒントなり教訓を見つけることができるはずだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおたん

20
タイトル通り、過去の歴史からコロナ後を読み解くキッカケを知ることができる本です。過去の歴史から主に第一次から第三次グローバリゼーションに分けて、歴史を紐解き、今に生かす内容です。◆グローバリゼーションがもたらした「カオス」は必ず終息し、新たな「秩序」の形成に動き出す◆科学が「why」を探究するのに対して、工学は「how」を考える◆鎖国はヒトの移動は制限されたが、モノ・カネ・情報は動き、危機を乗り越えた◆混乱は40年かかる◆ローカルを重視し、ローカル同士を繋ぐ◆情報に敏感になれ。危機意識と先取精神が必要2021/07/05

ta_chanko

18
第一次グローバリゼーション(大航海時代)はポルトガル・スペインが主導し、日本銀・メキシコ銀を使ってアジアで交易。しかし気候の寒冷化により「17世紀の危機」に突入。グローバリゼーションも強制終了。アジアは「鎖国」、ヨーロッパでは重商主義=管理貿易の時代に。その後、19世紀にはイギリスの覇権のもとで第二次グローバリゼーションが展開されたが、第一次世界大戦とスペイン風邪パンデミックにより強制終了。そして冷戦後に第三次グローバリゼーションが広がったが、リーマン・ショックと新型コロナ・パンデミックにより強制終了。2021/04/01

Go Extreme

5
新型コロナウイルス感染症で第3次グローバリゼーション終了 第1次グローバリゼーション・地球規模の大動乱・16世紀:東アジア=グローバル経済の中心 スペインの対外拡張主義 軍事テクノロジーとしての大砲と帆船→西欧の優位性 収束・17世紀:異常気象 鎖国の実態 世界初のヘゲモニー国家・オランダの盛衰ー掠奪→貿易 西洋近代の原動力・カルヴァン主義と新ストア主義 主権国家成立の時代・ウェストファリア体制確立の西欧 棲み分けが固定化・17世紀後半から18世紀にかけての東アジア 17世紀の世界史から何を学ぶべきか2021/03/01

Kazuo Ebihara

5
著者は新型コロナのパンデミックにより 21世紀のグローバル化の流れは一旦終わると言う。 16、17世紀のスペイン、オランダ、イギリスを 中心とした世界覇権争いの発端から終焉までを解説。 時空を自在に旅する佐藤さんの 世界史講義は実に面白い。2021/01/09

とっぴぃ

4
これまでの近現代史を振り返ると、コロナによるパンデミックは第三次グローバリゼーションの終焉を示しており、鎖国に近い状態にあること。時代は大きく振り子のように揺れ動いて似た動きを繰り返すことを新書の文量で端的に示してくれている本。近現代政治史の振り返りにも使えます。鎖国時代も情報、モノは流通していたという点がポイントで、うまく文化を残しつつ経済循環できると良いのかなぁと思いました。動乱時に起きる政変の行方が心配です。2021/01/12

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