内容説明
第二次世界大戦後、独自に発展してきたタイの機械技術。そこに関わる人とモノとは、どのような関係を結んできたのか。マルセル・モースの技術論、アクターネットワーク理論を駆使して文化/自然の二元論を乗り越える、テクノロジーの人類学。
目次
序 文 人類学的対象としての機械
第Ⅰ部 機械の人類学
第1章 機械の人類学とその先駆者たち
第2章 「野生のエンジニアリング」への関心
第Ⅱ部 技術の世界の見え方
第3章 工場の風景
第4章 経験を頼って見る
第5章 仕事をする身体と現場の空間
第6章 あらわになる「能力」
第7章 機械工として生きる
第Ⅲ部 関係的な人工物
第8章 機械を構成する諸関係
第9章 「野生のエンジニアリング」の誕生
第10章 流体的な機械
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
3
タイの地場工場をフィールドとした、機械工業の人類学フィールドワーク。そこでの機械とは、中古品をさまざまに組み合わせ、現場での試行錯誤を繰り返しながら自在に変容していくもので、一種の「民具」としての性格を帯びてきます。それは欧米的な知財の考え方にもとづくオーサーシップの自明性を根本から問い直すもので、紹介される事例も面白く、非常に刺激的な論考でした。2018/02/16
さわでぃ
1
タイにおける農村の機械工業の在り方を民族誌としてまとめた本。タイでは機械工業は必ずしも大手企業の工場に独占されておらず、日本や欧米からもたらされた技術移転が土着の技能工や町工場に浸透している。町工場では溶接工や機械工が農民から持ち込まれる課題を直接観察して試行錯誤のうえ解決策を見出すエンジニアリングが繰り広げられている。2022/12/18
☆☆☆☆☆☆☆
0
若手人類学者のエース(by某氏)による機械の民族誌。率直に言って非常に面白かった。2012/07/15