内容説明
私は心底から講釈が好きなのです――。多彩な趣味と遊興に明け暮れた明治生まれの「若だんな」が、芸の道へと飛び込んだ。貞山・伯鶴・初代山陽ら名人の教えを胸に大戦を生き延び、戦後は講談界再興を目指して柔軟な改革と挑戦を重ねた。講談を愛し、講談に尽くした「革命児」二代目神田山陽の破天荒な一代記。〈解説〉六代目神田伯山/長井好弘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
238
講釈師、見てきたような嘘を言い、なんてよくいうが、見たどころか実際にやったことばかりだというんだから驚く。書店の若旦那はダンスにのめり込んで講師になったり、将棋に凝ったかとおもうと腕前はプロ並みで、芸者遊びに会社の金を使い込み、講談に夢中になって潰れかけの寄席を再建し、気がつけば自身も高座に上がって真打になっている。桂馬の高跳びが歩の餌食になるどころか、跳びすぎて噺な世界から跳び出してきたような一代記は、噺以上にめっぽうおもしろい。後進を、とくに女性講談師を育てて講談を救い守った功績も甚大で計り知れない。2021/03/31
fwhd8325
54
子どもの頃、田辺一鶴さんの「東京オリンピック」を見ているから、今でも講談を聴きに行くのかもしれません。一鶴先生は、亜流と見られ、講談の本筋からは冷遇されていたことは有名な話ですが、一鶴先生を擁護したのか、二代目山陽先生。破天荒な人生と言ってしまえばそれまでだが、情熱に満ちた人生は、講談以上に面白かった。何方か連続もので読んでくれないかなと願います。少し前三代目山陽が人気だった時代があります。解説で伯山先生が書いているように、そろそろ登場してほしいと思います。このツートップだったら人気は定着すると思います。2021/06/17
ばんだねいっぺい
26
一生、勉強だと襟を正された思い。やってることの凄さより、本人の謙虚さが上回るから、何がなんだかわからなくなる。前半生の物語の主人公感は、作り物めくほど。獅子文六の作中人物のよう。世間の鬼たちもわんさと登場して、似たような経験を思い出したりした。2021/09/28
qoop
7
芸道楽で身代を失う落語の典型的な若旦那像を地で生きつつ、精力的に芸に邁進した結果、衰亡著しかった講談という芸能の命数を現代につなぎ、講談中興の祖といって然るべき立場に進んだ著者の一代記。本書がドラマ化されたら講談の本格的な復権もあり得るかも…と思わせられる面白さ。また明治中期〜戦前の出版について興味深い記述が散見される点も高いポイント。2021/03/31
morelemon
3
すごい人がいるものなんですね。まさしく落語に出てくる放蕩息子を地で行くような生き方から講釈場の立て直しから講談師への歩み。それを自伝という形で読めたのはよかったです。破天荒に見えて講談界のことを考えた数々の行動。今の講談界があるのも二代目のおかげなんだということを感じました。2021/08/18
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