文春e-book<br> 眠れる美男

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文春e-book
眠れる美男

  • ISBN:9784163913087

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内容説明

川端康成の『眠れる美女』は、高齢男性の性を扱った。
それから60年。川端を敬愛する台湾の第一線女性作家が正反対の方向からタブーに挑んだ。
すなわち、高齢女性の性に正面から挑んだのである――

元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷は、行きつけのフィットネスジムのインストラクター、パンに惹かれていく。
少数民族の出身で、眉目秀麗な彼―パンの、色白の肌の下に潜んだしなやかな筋肉に直接触れたいという欲望を、殷殷は抑えきれないでいた。
そしてある夜、パンを別荘に招いた殷殷は、彼に眠り薬を盛るのだった……

〈本書は長くタブーだった高齢女性のエロティシズムを扱った、きわめて挑戦的な作品だ〉(上野千鶴子・東京大学名誉教授)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

215
書店で気になって図書館に予約して読みました。李 昻および台湾の作家は初読です。著者は世界的にも著名な政治と性事の作家とのことです。本書は、川端康成『眠れる美女』オマージュ純文学的官能小説(眠れる美女とは男女逆パターン)でした。中国語で二十歳前後の美少年を「小鮮肉」と表現するとは思いませんでした(驚) 台湾でもマジンガーZは人気があるんですね。【読メエロ部】2021/02/14

まさ

28
川端康成の『眠れる美女』は高齢男性の性と女性の美しさが描かれているが、女性視点だと嫌悪感を持つように思う。では、高齢女性と若い男性なら?男性視点でどう読むことができるのか。『眠れる美女』へのオマージュである『眠れる美男』とのことで、怖々かつ興味津々で本を開いた。妖しさと尊さ――を感じるはずが、途中で読むのをやめようかと思ったのはこのパターンに慣れていないからか。2021/03/12

松本直哉

24
川端康成の古典を換骨奪胎して性役割を入れ替えただけで、これほどスリリングになるとは予想外で、原作より面白いかもしれない。更年期を過ぎたインテリ女性が、スポーツジムのインストラクターの若い男性の肉体に魅せられて恋する過程は、同時に、頭でっかちだった自分自身の生身の身体性を発見する道のりでもあった。すべてお膳立てしてもらってただ横になるだけの受動的な川端の登場人物とは逆に、自ら薬を盛って眠らせて、彼の服を一枚ずつ脱がせる場面が艶めかしく、女性が色事の主導権を持つことの新しさが、読む者の胸をざわつかせる。2023/06/10

たまきら

20
う~ん…。買春ができる人、はそこでまずジャンルを分けないといけないと思うんですよね…。50過ぎ女性だからってまとめないでほしい。とはいえ若さにしがみつく老人の哀れさ滑稽さは、あの気持ちが悪い川端康成の小説でも感じたし、キューブリック監督の遺作「アイズ・ワイド・シャット」を見終えた時の脱力感と重なるというか…。男性作家であろうが女性作家であろうがコンセンサスのない性描写は、自分は嫌!と、言いたい。…「夫殺し」は読もうかな。2021/02/22

tom

15
図書館散歩で拾ってくる。この物語は、川端康成の「眠れる美女」にリンクしたもの。主人公は富裕な女性。たぶん還暦を超えている。ジムに行き、彼女のトレーナーになった若くて美しい男と知り合う。体を鍛える。次第次第に引き締まった体に変化する。そして、体の変化とともに、トレーナーに対する身体的欲望が目覚める・・。主人公を高齢者に設定して、尽きぬ性的欲望をネタにしたらこうなりますという、それだけの物語を中国古典を交えて格調高く語る。上野千鶴子はタブーを破ると、この本の出版を望んだとのことだけど、そうですかという読後感。2021/05/22

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