内容説明
米大統領選の混乱は、アメリカの衰退の象徴である。世界は明らかに混沌に向かっており、この流れは不可逆的と言わざるを得ない。「世界の力の均衡点はアジアに移行しつつある」「アメリカ・ファーストは不変である」「中国の国際機関支配は止まらない」「北朝鮮の核開発は着実に進む」「米・イランの神経戦は続く」――。国際情勢分析の第一人者が、20の観点(アングル)から2021年以後の世界を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
176
難民への反感から欧でポピュリズム政権が次々誕生したが、米も孤立主義へ向かっており、この潮流はバイデンに交代しても変わらないとする。中道派バイデン政権の成否は(選挙では反トランプで一致した)左派とどう折り合いを付けるかだ。トランプ支持層のエリート層への反発(反知性主義)の根には福音派による科学への懐疑があったという。結局トランプは差別的な分断政策を推し進め、世界の多極化と再編を狙う国々を利することとなった。中国によるウイグル自治区での強制収容、香港での一国二制度の破壊…にバイデンがどう取り組むか注目される。2021/08/06
kawa
33
現在の世界情勢を「簡にして要」的にメニュー執筆。将来どうなるかというご宣託は少なめなのだが基本的データ取得という意味で好印象。トランプ前大統領のやんちゃぶり強調描写でちょっとブルーだが、所詮、国際外交は自国優先の駆け引きの世界。解りやすいトランプ君の外交政策のほうが微笑ましい…と記したら暴論だろうか?2022/12/04
kan
9
まさに新書らしく、20の視点で幅広く現代の国際情勢の見方を解説し、読みやすかった。題名の「世界秩序」を読み解くというよりは、アメリカをハブとした国際秩序を分析する感じだが、視点も地域も多岐にわたり面白い。コロナで安全保障リスクは大きくなるし、ストロングマンは権力をより肥大化させ、世界は混迷していく一方だなと思った。先日ファーウェイの副会長が司法取引で解放されたが、バイデンの対中強硬策の継続って話はどこに進むのだろう。2021/09/26
紫の煙
9
米国中心、米国視点の記述である。トランプの4年間とは、何だったのかを理解するには良い本。世界の力の均衡点が東洋に向かうイースタニゼーション、世界から求心力のある指導国がなくなるGゼロ、米国の凋落と中国の台頭、嬉しい事ではない。 2021/03/17
T.Matsumoto
8
世界秩序というタイトルとはちょっと違う内容でして、トランプ大統領の政策がコンパクトに整理されています。ロシアゲートやイスラエル大使館移転、北朝鮮会談など、ニュースでは知っていたけど、その意味するところを解説してもらうと、改めて、酷い4年間だったな〜、と再確認できると思います。バイデン政権発足直後の原稿というタイミングもあり、さして明るい展望もなく、どうしたものかと思案に暮れます。2021/06/01