内容説明
夏目漱石が松山時代を過ごした下宿先の孫娘「より江」は、幼い頃から漱石夫妻や正岡子規に可愛がられ、美しい才女へと成長。医学生だった久保猪之吉と出会う――。『吾輩は猫である』に登場する雪江のモデルとされ、泉鏡花、柳原白蓮とも親交があった俳人・歌人の久保より江。明るくしなやかに生きる少女の物語を、高浜虚子、寺田寅彦ら錚々たる文化人との逸話を盛り込みながら、情緒豊かに描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
80
センセ夫妻はもとより、升、清、寅彦、鏡花など。升と愚陀仏が、より江の”文字”の世界の入口となり、その文字が猪之吉との絆を深めた。センセ夫妻の試練と、より江の死相が話の骨格を成す、一見暗くなりがちな話の展開。対照的に、”黒猫”に安全を祈願する2度の別れの場面は温かい。印象的なのが、センセと清と手をつないで、画集を買いに行く件。贅沢な絵面だなぁ、これ。『我輩』や『星の歌舞伎』なども、自然な成り行きという感。舒文堂をネットで確認。いつかは訪れてみたいものだ。「海鼠」は既知ではあるが、改めて”らしさ”を感じる。2021/05/12
ikedama99
9
途中休みながら読んだからか、印象が散漫になったのは残念。猫が狂言回しで出てきたりしながら、漱石と夫人の姿、それを取り巻く人たちの話がある。若い漱石と夫人の姿は、今までのイメージとは違った。特に、夫人のイメージが違った。夫婦としてしっかりと生き抜いた印象がある。漱石についてより知りたくなった。2021/11/12
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4
無垢な少女が文通を通じて温め育んだ恋心を実らせ、賢い妻として夫の心を支えた物語。ヨリヱの母や祖母の結婚エピソードなど、なかなかドラマチックで面白かったですが、ヨリヱ自身の方はもうひとつ、クライマックスに盛り上がりが欲しかった気がします。2021/02/03
図書館小僧
3
漱石が松山時代に下宿していたお屋敷の娘さんが主人公。彼女から見た若き日の漱石…と思って手に取ったのだけど、それは序盤でお終い。彼女が久保猪之吉と結婚するまでの半生が主題だった。2023/03/15
Crystal.B
3
漱石自身の作品はそれほど読んでいませんが、登場人物として出てくるものは意外と読んでいる気がします。下宿先の娘の眼に映った姿はなかなかの好漢で愛すべき存在に感じました。妻の鏡子さんも然り。何より、より江の恋愛もようが初々しい。漱石を熱愛するこの作家さんならでは。2022/09/03
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